雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
拓海さんと二人きりでなんか気まずい。

「ピーマンの肉詰め途中だった」

半分に切って種を抜いたピーマンにひき肉で作ったタネを入れようとしたら、拓海さんに抱きしめられた。

ドキン!

鼓動が大きく脈打つ。

誰もいないとは言え、人様のお宅で抱きしめられているのは落ち着かない。

「あ、あの拓海さん……」

「奈々ちゃん、ごめん。今朝、佐伯さんが電話に出てびっくりしたよね。実は今朝、佐伯さんが交際中の男と会うから、カモフラージュの為に俺も呼ばれて彼女のマンションに行ってたんだ。それで男と二人だけで話したいから、席を外してくれと言われて席を立った時、スマホをリビングに置いて来てしまって。佐伯さんが俺のスマホに出たのは、俺が置きっぱなしにしたからで。奈々ちゃんが心配しているような事は何もないんだ。疑うなら佐伯さんのマネージャーの森さんに聞いて欲しい。彼女もその場にいたから」

拓海さんが一気にまくし立てる。
私の不安を全部、わかってくれていたんだ。
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