雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「中島さん、黙秘ですか?」

黙っていると久保田の視線が鋭くなる。

「黙っているのは、今は交際を表にしたくないという事ですね」

久保田のくせによくわかっている。

「お願い。久保田。聞かなかった事に」

手を合わせて久保田を拝む。

「中島さんよりは口が堅いですから。大丈夫です」
「ちょっと、私が口が軽いみたいな言い草」
「中島さんは軽いですよ。今日子さんが初恋だった事は言わないで欲しかったです。金曜日に会った時に望月先生に初恋は実らないって、傷口に塩を塗るみたいにさんざん言われたんですから」

望月先生なら言いそう。

「でも、言っておきますけど、今日子さんは初恋じゃないですから。本当の初恋は中島さんですから」

ハイボールに咽た。

「はあ? 何言ってんの?」
「中島さんって、鈍いですよね」
「冗談だよね?」
「冗談に取らないで下さい。僕は中島さんの事がずっと好きだったんです」

いつも頼りない久保田が急に男の顔をする。
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