雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「どうしたらあなたに償えますか?」

私の問いに佐伯リカコが険しい表情を浮かべる。

「私の赤ちゃんを返して。あなたのせいよ。あなたが邪魔をしたから、私は赤ちゃんを流したのよ! 私の赤ちゃんを返して!」

「すみません。本当にすみません。返せるものなら返したいです」

「返してよ。赤ちゃんも、拓海も。拓海は私のよ。あなたにあげるものですか!」

細い腕が私の首を絞める。

苦しい。

このまま殺されると思った時、インターホンの音がする。私を追い詰めるように何度もインターホンは繰り返される。

早く出なきゃ、早く……。

そう思って重たい頭を抱えて、テーブルから起き上がった。

暗い窓に薄く街灯の光が射していて、ぼんやりと部屋の様子が見える。

ここは私の部屋。

帰って来て、電気も点けずにいた事を思い出した。

スマホを見ると、もう夜の7時。

寝ていたんだ。

背中にぐっしょりと汗をかいていた。何だか頭も重たく胸が苦しい。
多分、今見ていた夢のせいだ。

電気を点けて、シャワーを浴びて、何か食べようと思った時、インターホンが鳴った。

一瞬、佐伯リカコかと思って、ドキリとしたけど、モニターに映ったのは拓海さんだった。
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