雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】

「急に押しかけてごめん」

玄関ドアを開けると拓海さんが言った。
思いがけず拓海さんに会えて嬉しい。

佐伯リカコの顔が過る。
彼女はもう落ち着いたんだろうか。

聞こうとした時、拓海さんの腕が伸びて玄関で抱きしめられる。
なんか拓海さんが甘い。

いきなりの展開にドキドキする。

「ちょっと充電させて。さすがに疲れた」

すぐそばで聞こえる拓海さんの声がいつもより疲れている。

「拓海さん、大丈夫ですか？」

目が合うと拓海さんがチュッて私の唇に短くキスをした。

「今、大丈夫になった」

微笑んだ拓海さんが可愛い。
それに私で回復してくれるのが嬉しい。

「奈々ちゃん、夕飯食べた？」
「いえ」
「良かった。じゃあ作るから」

拓海さんの手にはスーパーのレジ袋があった。