雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
拓海さんは正直に、離婚の経緯を話した。仕事が忙しくて、家庭を顧みなかった事、優真君が病気になって家族の大切さに気づいた事、その時にはもう手遅れだった事、優真君が亡くなって完全に夫婦仲が冷え切ってしまった事。

淡々と語られる言葉を横で聞いていて、胸が痛くなった。
拓海さんを幸せにしたいって強く思う。

そして、拓海さんはもう二度と結婚するつもりはないと思っていたけど、私と出会い、考えが変わったと言ってくれた。

私が作った味噌汁を飲んで、心から私の事が好きだと思った事、私を幸せにしたいと思った事、私なしの人生はありえないと思った事を拓海さんは話してくれた。

味噌汁の話を聞いて、胸が熱くなる。
拓海さんに何かしてあげたくて作った、あの味噌汁が拓海さんにそこまでの事を思わせていたなんて知らなかった。

嬉しくて、涙が溢れる。

「拓海さん、大好き！」

思わず拓海さんに抱き着くと、お父さんもお母さんも目を丸くして驚く。

大好きな映画の仕事一筋で一生独身でいると言っていた私は本来、こんな風に拓海さんに抱き着くキャラではないのだ。

両親の前だったけど、拓海さんがあまりにも愛しくて、我慢できなかった。

私を見て、お父さんが突然笑い出す。
それから「奈々子の気持ちも、雨宮さんの気持ちもわかりました。雨宮さん、不束な娘ですが、よろしくお願いいたします」と言ってくれた。

何がどうして、お父さんが許してくれる気になったのかわからないけど、拓海さんと一緒に暮らす事に許しをもらえたようだ。
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