雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
夕食の後は雨宮課長が大きな洗面化粧台で、私の髪を洗ってくれた。それからお風呂から出ると、怪我した部分の処置もしてくれる。消毒して、軟膏を塗ってガーゼで傷口を塞ぐ。ガーゼがズレないように最後は白いネットを被って終わり。雨宮課長は手際よくやってくれた。

お風呂にも入って、髪も洗って、久しぶりにスッキリした。
やっぱり退院して良かった。

雨宮課長と二人きりなんて無理だと思っていたけど、思っていたよりも何とかなっている。

しかし、この後はどうするんだろう?

雨宮課長とあの大きなダブルベッドで一緒に眠る事になるのかな。
私の部屋を見たけど、ベッドは持って来ていなかった。だから、寝室のダブルベッドが私たちの寝具という事になると思うのだけど……。
それとも、他にベッドがあるのかな? 

そんな事を思いながら、そわそわとリビングでテレビを見ていたら、お風呂上がりの雨宮課長がやって来て、隣に座る。

トレーナー生地のグレーの上下に紺色のカーディガンを羽織った姿が、家っぽい感じがしてドキドキする。漂ってくるシトラス系のボディソープとシャンプーの香りは私がつけているのと同じ。雨宮課長と私は同じ香りを纏う仲なんだと思ったら、さらに心拍数が上がった。

夜はいつも私たちはどんな風に過ごして来たんだろう。
一緒に暮らしているって事は……エッチとかもしていた訳で……。

「奈々ちゃん」
「ひゃっ!」

肩をびくっとさせて、雨宮課長を見ると、眼鏡越しの瞳が丸くなった。
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