雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
雨宮課長と一緒に病院に行った。
外来で診察を受け、入院していた時も診てくれた主治医の藤村先生に抜糸をしてもらう。傷は完全に塞がったよう。傷跡も目立たなくなると先生が言ってくれる。
で、記憶について聞かれる。
何か思い出した事はありますかと聞かれるが、何も思い出せていない。事故当日の記憶もないし、ここ一年の記憶がやっぱり抜け落ちている。
だけど、入院していた時ほど、不安じゃない。
多分、雨宮課長に少しだけ心が開けるようになったから。
まだ恋人のようには思えないけど、雨宮課長の事を一緒に暮らす親しみのある人ぐらいには思えるようになった。
私の話を聞いて、先生が「もしかしたら記憶喪失の原因は精神的なストレスもあるかもしれませんね」と、呟いた。どういう事か聞くと、頭を打つ直前に見たくないものを見たか、聞いたかして、その記憶を消し去りたいと思ったのかもしれないとの事だった。
見たくないもの、聞きたくないもの……。
顎に手をあて考えてみる。
一瞬、ふわっと何かが過る。
しかし、次の瞬間、思い出すのを止めさせるように頭痛がした。
急に先生の声も、雨宮課長の声も遠くなる。
頭の中がぐるぐるとする……。
外来で診察を受け、入院していた時も診てくれた主治医の藤村先生に抜糸をしてもらう。傷は完全に塞がったよう。傷跡も目立たなくなると先生が言ってくれる。
で、記憶について聞かれる。
何か思い出した事はありますかと聞かれるが、何も思い出せていない。事故当日の記憶もないし、ここ一年の記憶がやっぱり抜け落ちている。
だけど、入院していた時ほど、不安じゃない。
多分、雨宮課長に少しだけ心が開けるようになったから。
まだ恋人のようには思えないけど、雨宮課長の事を一緒に暮らす親しみのある人ぐらいには思えるようになった。
私の話を聞いて、先生が「もしかしたら記憶喪失の原因は精神的なストレスもあるかもしれませんね」と、呟いた。どういう事か聞くと、頭を打つ直前に見たくないものを見たか、聞いたかして、その記憶を消し去りたいと思ったのかもしれないとの事だった。
見たくないもの、聞きたくないもの……。
顎に手をあて考えてみる。
一瞬、ふわっと何かが過る。
しかし、次の瞬間、思い出すのを止めさせるように頭痛がした。
急に先生の声も、雨宮課長の声も遠くなる。
頭の中がぐるぐるとする……。