雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「さては俺の愚痴で盛り上がったんだな」
もじもじとしていたら、そう言って雨宮課長が笑う。
「そんな事……」と言って顔を向けると、眼鏡の奥の二重の凛々しい目と合って、心臓がぎゅうぅぅっとなる。「ありません」と続けた声が自分でもびっくりするぐらい小さくなった。
雨宮課長を直視できない。もう、いやだ。逃げ出したい。だけど、雨宮課長の気配も感じていたい。どうしてこんな矛盾した事を思っているのだろう? ああ、もう自分がよくわからない……。
はあっと息をつくと、「奈々ちゃん」と優しく呼びかけられた。
「はい」背筋をピンと伸ばして答える。
「取って食いはしないよ。そんなに警戒しないで」
クスッと笑った声が優しく耳に響いて、また胸がドキンとする。私の心臓、なんかおかしい。壊れちゃったみたいに敏感だ。
「すみません。あの、自分でも、どうしてこんなに雨宮課長にドキドキしているのかわからなくて、その、挙動不審でごめんなさい」
自分の膝の上で手を合わせて小さく頭を下げる。
沈黙が流れた。
何か変な事を言ったのだろうか?
ちらりと隣で足を組んでいる雨宮課長を見ると、驚いたように瞬きして、それから「そうなんだ」と、何だか嬉しそうに口の端を上げた。
もじもじとしていたら、そう言って雨宮課長が笑う。
「そんな事……」と言って顔を向けると、眼鏡の奥の二重の凛々しい目と合って、心臓がぎゅうぅぅっとなる。「ありません」と続けた声が自分でもびっくりするぐらい小さくなった。
雨宮課長を直視できない。もう、いやだ。逃げ出したい。だけど、雨宮課長の気配も感じていたい。どうしてこんな矛盾した事を思っているのだろう? ああ、もう自分がよくわからない……。
はあっと息をつくと、「奈々ちゃん」と優しく呼びかけられた。
「はい」背筋をピンと伸ばして答える。
「取って食いはしないよ。そんなに警戒しないで」
クスッと笑った声が優しく耳に響いて、また胸がドキンとする。私の心臓、なんかおかしい。壊れちゃったみたいに敏感だ。
「すみません。あの、自分でも、どうしてこんなに雨宮課長にドキドキしているのかわからなくて、その、挙動不審でごめんなさい」
自分の膝の上で手を合わせて小さく頭を下げる。
沈黙が流れた。
何か変な事を言ったのだろうか?
ちらりと隣で足を組んでいる雨宮課長を見ると、驚いたように瞬きして、それから「そうなんだ」と、何だか嬉しそうに口の端を上げた。