雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「俺にドキドキしてくれているんだ」

さっきよりも弾んだ低い声が耳を掠める。
改めて言われると、恥ずかしい事を言ってしまったような……。

「はい、まあ、そうです」
「そうか。そうなんだ」

なんか雨宮課長が急にご機嫌になった。
そんな課長がちょっぴり可愛い。

「奈々ちゃん、少しだけいい?」
「えっ、はい」

何の事かわからないけど、頷いた。すると雨宮課長がスーツ姿のままいきなり横になって、私の膝の上に頭を置く。

これって……膝枕……。

私よりも七歳年上で、会社の上司で、同居人で、いつも私の心配ばかりしている、しっかり者の雨宮課長が、子どもみたいに私の膝で膝枕をしている。

なんて、無防備な姿なんだろう。

なんか胸がキュンとする。

「石鹸の匂いがする。奈々ちゃん、お風呂上がり?」

横になったままの雨宮課長が私を見上げる。

「はい。今、出た所で」
「一緒に入りたかったな」

えっ……。
< 335 / 373 >

この作品をシェア

pagetop