雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
【Side 拓海】
「バカ、んなコト、する訳ないだろ!」
「じゃあ、何したの?」
「……膝枕をしてもらった」
栗原が半笑いになる。それから腰に手を当てて、ケラケラと笑い出した。
「そっか、そっか。中島ちゃんに甘えたくなっちゃったんだね。拓ちゃん、可愛いねぇ」
よしよしと小さな子供にするように栗原に背中を撫でられ、恥ずかしさで背中が熱くなってくる。話したくなかったが、相談できる相手が栗原しかいない。
「そんなに笑うな」
「もう笑ってないって。それで中島ちゃんに怒られたの?」
奈々ちゃんの泣き顔が浮かぶ。
「まだ怒られた方が良かった。奈々ちゃん、いきなり泣き出して。膝枕が嫌だったのかと思って、慌てて離れた。俺の事が嫌なのか聞いたが、嫌ではないと言ってくれて。でも、その日からますます奈々ちゃんがよそよそしくなったというか……」
はぁーと、思わずため息が零れた。
「目が合うと逸らされるし、近づくとさっと距離を取るようにどこかに行ってしまうし、話しかけると、びくっとしているし。なんか心の扉を締められたというか。やっぱりこれって嫌われたのか?」
「嫌われたね」
あっさりと栗原が答える。
ガーン!
奈々ちゃんに嫌われた……。
「膝枕がいけなかったのか?」
「びっくりしたんだろうね。七つ年上の上司にいきなりそんな事されて」
年上の上司……。
今の奈々ちゃんとの距離を客観的に言い当てられて、ズシッと胸が重たくなる。
奈々ちゃんが記憶を取り戻さなかったら、一生俺は上司のままで、男として見てはもらえないんだろうか。
はあ、二本目の煙草が吸いたくなる。
「あっ!」
栗原がいきなり声を上げる。
「バカ、んなコト、する訳ないだろ!」
「じゃあ、何したの?」
「……膝枕をしてもらった」
栗原が半笑いになる。それから腰に手を当てて、ケラケラと笑い出した。
「そっか、そっか。中島ちゃんに甘えたくなっちゃったんだね。拓ちゃん、可愛いねぇ」
よしよしと小さな子供にするように栗原に背中を撫でられ、恥ずかしさで背中が熱くなってくる。話したくなかったが、相談できる相手が栗原しかいない。
「そんなに笑うな」
「もう笑ってないって。それで中島ちゃんに怒られたの?」
奈々ちゃんの泣き顔が浮かぶ。
「まだ怒られた方が良かった。奈々ちゃん、いきなり泣き出して。膝枕が嫌だったのかと思って、慌てて離れた。俺の事が嫌なのか聞いたが、嫌ではないと言ってくれて。でも、その日からますます奈々ちゃんがよそよそしくなったというか……」
はぁーと、思わずため息が零れた。
「目が合うと逸らされるし、近づくとさっと距離を取るようにどこかに行ってしまうし、話しかけると、びくっとしているし。なんか心の扉を締められたというか。やっぱりこれって嫌われたのか?」
「嫌われたね」
あっさりと栗原が答える。
ガーン!
奈々ちゃんに嫌われた……。
「膝枕がいけなかったのか?」
「びっくりしたんだろうね。七つ年上の上司にいきなりそんな事されて」
年上の上司……。
今の奈々ちゃんとの距離を客観的に言い当てられて、ズシッと胸が重たくなる。
奈々ちゃんが記憶を取り戻さなかったら、一生俺は上司のままで、男として見てはもらえないんだろうか。
はあ、二本目の煙草が吸いたくなる。
「あっ!」
栗原がいきなり声を上げる。