雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
【Side 拓海】
「どうした?」
「拓ちゃんの左目、まつ毛が入りそう……」
栗原は吸いかけの煙草を持っててと、俺に押し付けてから、俺の顔から眼鏡を奪い、右の人差し指を俺の左目に伸ばす。
「あっ、取れた!」
自慢するように栗原が人差し指ですくい取った俺のまつ毛を見せる。
「眼鏡返せ」
うふっと、栗原が意味深な笑みを浮かべる。
「なんだよ。気持ち悪い」
「拓ちゃんって、やっぱイケメンだな。眼鏡外すと、あの頃の顔になるから懐かしい」
「大学では眼鏡かけてなかったからな」
「ねえ、拓ちゃん。私、あの頃、少しだけ拓ちゃんに恋していた時期があったんだよ。気づいていた?」
「へっ……」
半笑いになる。
栗原とそんな色っぽい関係になるなんて考えられない。
「やっぱ、気づいてなかったか。拓ちゃん、鈍感だもんね」
「冗談だよな?」
「さあ、どうでしょう。ところで、中島ちゃんがドアの外からこっち見ているよ」
目を細めてガラスドアの外を見ると、グレーのパンツスーツ姿の奈々ちゃんがいた。
目が合うと、奈々ちゃんはびっくりしたような表情を浮かべて、逃げるように駆けていった。
逃げ出さなくてもいいのに……。
奈々ちゃんの反応にへこむ。
「追いかけた方がいいよ」
栗原が俺の顔に眼鏡を戻す。
「ますます嫌われないか?」
「今のでわかったけど、拓ちゃんを嫌いで避けているんじゃないと思う」
「じゃあ、なんで俺を避けるんだ?」
栗原がニコッと微笑む。
「自分で考えなさい。ほら、早く追いかけな」
栗原が俺の指から栗原の分の煙草と、俺の吸いかけの煙草を取る。
本当に追いかけて大丈夫なんだろうか。躊躇っていると「ほらっ」って栗原に肘で脇腹を突っつかれた。
「このままにしたら余計こじれるよ」脅しのような栗原の言葉に胃が痛くなる。冗談じゃない。これ以上、こじれてたまるか。
喫煙室を出て、奈々ちゃんを追いかけた。
「どうした?」
「拓ちゃんの左目、まつ毛が入りそう……」
栗原は吸いかけの煙草を持っててと、俺に押し付けてから、俺の顔から眼鏡を奪い、右の人差し指を俺の左目に伸ばす。
「あっ、取れた!」
自慢するように栗原が人差し指ですくい取った俺のまつ毛を見せる。
「眼鏡返せ」
うふっと、栗原が意味深な笑みを浮かべる。
「なんだよ。気持ち悪い」
「拓ちゃんって、やっぱイケメンだな。眼鏡外すと、あの頃の顔になるから懐かしい」
「大学では眼鏡かけてなかったからな」
「ねえ、拓ちゃん。私、あの頃、少しだけ拓ちゃんに恋していた時期があったんだよ。気づいていた?」
「へっ……」
半笑いになる。
栗原とそんな色っぽい関係になるなんて考えられない。
「やっぱ、気づいてなかったか。拓ちゃん、鈍感だもんね」
「冗談だよな?」
「さあ、どうでしょう。ところで、中島ちゃんがドアの外からこっち見ているよ」
目を細めてガラスドアの外を見ると、グレーのパンツスーツ姿の奈々ちゃんがいた。
目が合うと、奈々ちゃんはびっくりしたような表情を浮かべて、逃げるように駆けていった。
逃げ出さなくてもいいのに……。
奈々ちゃんの反応にへこむ。
「追いかけた方がいいよ」
栗原が俺の顔に眼鏡を戻す。
「ますます嫌われないか?」
「今のでわかったけど、拓ちゃんを嫌いで避けているんじゃないと思う」
「じゃあ、なんで俺を避けるんだ?」
栗原がニコッと微笑む。
「自分で考えなさい。ほら、早く追いかけな」
栗原が俺の指から栗原の分の煙草と、俺の吸いかけの煙草を取る。
本当に追いかけて大丈夫なんだろうか。躊躇っていると「ほらっ」って栗原に肘で脇腹を突っつかれた。
「このままにしたら余計こじれるよ」脅しのような栗原の言葉に胃が痛くなる。冗談じゃない。これ以上、こじれてたまるか。
喫煙室を出て、奈々ちゃんを追いかけた。