雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
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『フラワームーンの願い』のキャンペーンをお願いするメールを上映予定の映画館に送ったのは先週で、今週はその返信が返って来て、その中の一つに仙台のポールスターという映画館があり、支配人の藤原さんは私の事を知っているようだった。
隣の席の久保田に訊くと、『フラワームーンの願い』のフィルムを保管していた映画館ですよと教えてくれた。雨宮課長とその映画館に私は昨年の九月に行ったらしい。その事を雨宮課長にも確認しようと思って、総務部に行った。総務の女子社員が多分、喫煙室だと教えてくれて、足を向けたけど……。
ボブの髪型の確か、栗原さんという人と、雨宮課長が親し気な様子で喫煙室にいる所を見てしまい、中に入れなくなった。
雨宮課長が煙草を吸っている姿を見たのも初めてで、なんかそういう姿を見たのもびっくりしたし、一緒に吸っている栗原さんが大人の女性って感じで、お似合いの二人に見えて、胃がギュッと締め付けられるような、不愉快な気持ちになった。
すぐに立ち去れば良かったのに、二人が気になって、ドアの外から見ていたら、栗原さんって人が雨宮課長の顔からいきなり眼鏡を外す所も見てしまった。そんな事をされても雨宮課長は全然、嫌な顔をしていなくて、なんか楽しそうで、それが嫌で、真っ黒な気持ちでいっぱいになって、こっちに気づいた雨宮課長の顔を見たら、全力で走っていた。
一体、私はどこに向かっているんだろう。
勢いで乗った下りのエレベーターは今は法律事務所がある3階で停まり、赤いコートの女性と、黒いコートの男性が乗り込んで来た。扉が閉じて、何となく二人を見ていたら、幸せそうな表情で見つめ合っていて、私がいなかったらキスするんじゃないかと思った。
幸せな人たちを見て、ますます気分が沈んだ。そんな自分が嫌で仕方ない。人を幸せにしたくて、映画の仕事をしようと思ったのに、なんで幸せな人を見るのが嫌なんだろう。
『フラワームーンの願い』のキャンペーンをお願いするメールを上映予定の映画館に送ったのは先週で、今週はその返信が返って来て、その中の一つに仙台のポールスターという映画館があり、支配人の藤原さんは私の事を知っているようだった。
隣の席の久保田に訊くと、『フラワームーンの願い』のフィルムを保管していた映画館ですよと教えてくれた。雨宮課長とその映画館に私は昨年の九月に行ったらしい。その事を雨宮課長にも確認しようと思って、総務部に行った。総務の女子社員が多分、喫煙室だと教えてくれて、足を向けたけど……。
ボブの髪型の確か、栗原さんという人と、雨宮課長が親し気な様子で喫煙室にいる所を見てしまい、中に入れなくなった。
雨宮課長が煙草を吸っている姿を見たのも初めてで、なんかそういう姿を見たのもびっくりしたし、一緒に吸っている栗原さんが大人の女性って感じで、お似合いの二人に見えて、胃がギュッと締め付けられるような、不愉快な気持ちになった。
すぐに立ち去れば良かったのに、二人が気になって、ドアの外から見ていたら、栗原さんって人が雨宮課長の顔からいきなり眼鏡を外す所も見てしまった。そんな事をされても雨宮課長は全然、嫌な顔をしていなくて、なんか楽しそうで、それが嫌で、真っ黒な気持ちでいっぱいになって、こっちに気づいた雨宮課長の顔を見たら、全力で走っていた。
一体、私はどこに向かっているんだろう。
勢いで乗った下りのエレベーターは今は法律事務所がある3階で停まり、赤いコートの女性と、黒いコートの男性が乗り込んで来た。扉が閉じて、何となく二人を見ていたら、幸せそうな表情で見つめ合っていて、私がいなかったらキスするんじゃないかと思った。
幸せな人たちを見て、ますます気分が沈んだ。そんな自分が嫌で仕方ない。人を幸せにしたくて、映画の仕事をしようと思ったのに、なんで幸せな人を見るのが嫌なんだろう。