雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「奈々ちゃん?」
短かったけど、今、雨宮課長とキスを……。
「奈々ちゃん、聞こえてる?」
しかも会社の最寄りのコンビニで……。
誰かに見られているかもしれない場所で。
本当に見られていたらどうしよう?
久保田とか、阿久津部長とか、宣伝部の人たちの顔が浮かんで、恥ずかしさがこみ上げてくる。
もう、なんで雨宮課長は、公衆の面前でするかな。
いい大人なんだから、もう少し考えてくれてもいいじゃない。 あー、もう、急すぎて感情がついていかない。腹は立つけど、胸がキュンとして、ときめいて、顔中の筋肉が緩みそう。
苛立ちと嬉しさが混ざった感情を処理できなくて、カウンターの下の足をバタバタさせていると、低い声が笑う。
笑ったな! キッと睨みつけると、雨宮課長が「怒った?」と聞いてくる。
「当たり前です! ここはコンビニですよ!」
「家だったらいいの?」
「い、家……」
家でいいって言ったら逃げ場がなくなる。同じ家に帰るんだから。
今夜からどうしよう。家に帰ったら雨宮課長に襲われたりして……。
襲われる?
広いベッド。裸の雨宮課長。
うわー! 今考えちゃダメだー!
さらに足をバタバタさせると、雨宮課長の笑い声が響く。目尻を下げた優しい顔に鼓動がまた速くなる。頬も背中も脇の下も熱い。これはエアコンのせいじゃない。雨宮課長のせいだ。
「笑わないで下さい! 雨宮課長がびっくりする事を言ったり、するから、私、もういっぱい、いっぱいなんです」
じんわりと涙が滲む。
コンビニで泣くなんて恥ずかしい。でも、感情がコントロールできなくて、目の前の雨宮課長が歪む。
「私を動揺させて楽しんでいるんですか? 雨宮課長は意地悪です。私がどんなに、どんなに……」喉の奥が熱い。声にならない。肩が震える。ひっくと、しゃくり上げる声が出る。涙を噛み殺せない。
だから恋愛は嫌い。こんな事で気持ちがぐちゃぐちゃになるんだもの。
短かったけど、今、雨宮課長とキスを……。
「奈々ちゃん、聞こえてる?」
しかも会社の最寄りのコンビニで……。
誰かに見られているかもしれない場所で。
本当に見られていたらどうしよう?
久保田とか、阿久津部長とか、宣伝部の人たちの顔が浮かんで、恥ずかしさがこみ上げてくる。
もう、なんで雨宮課長は、公衆の面前でするかな。
いい大人なんだから、もう少し考えてくれてもいいじゃない。 あー、もう、急すぎて感情がついていかない。腹は立つけど、胸がキュンとして、ときめいて、顔中の筋肉が緩みそう。
苛立ちと嬉しさが混ざった感情を処理できなくて、カウンターの下の足をバタバタさせていると、低い声が笑う。
笑ったな! キッと睨みつけると、雨宮課長が「怒った?」と聞いてくる。
「当たり前です! ここはコンビニですよ!」
「家だったらいいの?」
「い、家……」
家でいいって言ったら逃げ場がなくなる。同じ家に帰るんだから。
今夜からどうしよう。家に帰ったら雨宮課長に襲われたりして……。
襲われる?
広いベッド。裸の雨宮課長。
うわー! 今考えちゃダメだー!
さらに足をバタバタさせると、雨宮課長の笑い声が響く。目尻を下げた優しい顔に鼓動がまた速くなる。頬も背中も脇の下も熱い。これはエアコンのせいじゃない。雨宮課長のせいだ。
「笑わないで下さい! 雨宮課長がびっくりする事を言ったり、するから、私、もういっぱい、いっぱいなんです」
じんわりと涙が滲む。
コンビニで泣くなんて恥ずかしい。でも、感情がコントロールできなくて、目の前の雨宮課長が歪む。
「私を動揺させて楽しんでいるんですか? 雨宮課長は意地悪です。私がどんなに、どんなに……」喉の奥が熱い。声にならない。肩が震える。ひっくと、しゃくり上げる声が出る。涙を噛み殺せない。
だから恋愛は嫌い。こんな事で気持ちがぐちゃぐちゃになるんだもの。