雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
俯いて、人差し指で涙を拭っていたら、柔らかい布の感触がする。
青いハンカチだ。
雨宮課長がハンカチで私の涙を拭いてくれている。
甘い柔軟剤の匂いが優しい。
あれ? 前にもこんな事があったような……。
「ごめん。奈々ちゃんがあまりにも可愛い事を言ってくれたから、我慢できなくなった。からかっている訳じゃないんだ。こんな事を言うのは迷惑かもしれないが、奈々ちゃんの事が愛しくて、つい触れたくなる。でも、気をつけるよ」
私、雨宮課長に好かれているんだ……。
そう思ったら抱き着いて甘えたくなる。けど、そんな勇気ない。
「さっき久保田君から聞いたが、ポールスターの藤原さんからメールが来ていたんだって?」
雨宮課長の青いハンカチを借りて、目元を抑えていると聞かれた。
「……はい」
「実はね、僕にも藤原さんがメールをくれてね。仙台に行った時に奈々ちゃんと泊まったあの温泉旅館がリニューアルしたから、遊びにおいでと言われていたんだ。せっかくだから、行ってみないか? その、俺たちにとっては思い出の場所だし」
温泉旅館……?
思い出の場所……?
ハンカチから顔を上げると、雨宮課長と目が合う。
「思い出の場所なんですか?」
「うん、まあ、俺たちが両想いになった切っ掛けをくれた場所というか」
頬を人差し指でポリポリとかく雨宮課長の顔がほんのり赤くなった気がする。
……雨宮課長、照れてる?
「どう?」
私の意志を確認するように眼鏡の奥の黒い瞳がこっちを見る。
両想いになった切っ掛けの場所……。
行ってみたい!
「行きたいです!」
雨宮課長が目尻を下げて微笑んだ。
青いハンカチだ。
雨宮課長がハンカチで私の涙を拭いてくれている。
甘い柔軟剤の匂いが優しい。
あれ? 前にもこんな事があったような……。
「ごめん。奈々ちゃんがあまりにも可愛い事を言ってくれたから、我慢できなくなった。からかっている訳じゃないんだ。こんな事を言うのは迷惑かもしれないが、奈々ちゃんの事が愛しくて、つい触れたくなる。でも、気をつけるよ」
私、雨宮課長に好かれているんだ……。
そう思ったら抱き着いて甘えたくなる。けど、そんな勇気ない。
「さっき久保田君から聞いたが、ポールスターの藤原さんからメールが来ていたんだって?」
雨宮課長の青いハンカチを借りて、目元を抑えていると聞かれた。
「……はい」
「実はね、僕にも藤原さんがメールをくれてね。仙台に行った時に奈々ちゃんと泊まったあの温泉旅館がリニューアルしたから、遊びにおいでと言われていたんだ。せっかくだから、行ってみないか? その、俺たちにとっては思い出の場所だし」
温泉旅館……?
思い出の場所……?
ハンカチから顔を上げると、雨宮課長と目が合う。
「思い出の場所なんですか?」
「うん、まあ、俺たちが両想いになった切っ掛けをくれた場所というか」
頬を人差し指でポリポリとかく雨宮課長の顔がほんのり赤くなった気がする。
……雨宮課長、照れてる?
「どう?」
私の意志を確認するように眼鏡の奥の黒い瞳がこっちを見る。
両想いになった切っ掛けの場所……。
行ってみたい!
「行きたいです!」
雨宮課長が目尻を下げて微笑んだ。