雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「中島さん、愛されているわね」
佐伯リカコに言われた。
雨宮課長は藤原さんと支配人室を出て行ったので、今は二人きり。
「あんなデレデレな拓海、見られるとは思わなかった」
佐伯リカコが柔らかな笑みを浮かべる。
「デレデレなんですか?」
あまりピンと来ない。
「中島さんを見る時の表情。あれは好きで堪らないって顔よね。っていうか、私が話している時も、あの人、ずっと中島さんを見ていたわよ。拓海があんな男だとは知らなかった」
腕を組んで、ふんっと呆れたように鼻息をつく、佐伯リカコが可笑しい。クスクス笑っていると「ありがとう」としんみりした声が響いた。
「え?」
「2人の話を聞いていたら、彼が今、幸せだってわかって、ほっとしたの。中島さんのおかげよ。私、離婚する時、さんざん酷い事を言っちゃったから。彼を沢山傷つけて、悲しませて、本当に最悪だった。なのに、七年ぶりに会って、彼は私を助けてくれた。彼は結婚していた時から優しいの。そんな彼に寄り掛かりそうになったけど、『俺たちは完全に終わっている』ってハッキリと言われちゃった」
あははと笑った、眉尻を下げた表情が寂しそう。
「でもね。中島さんと今、幸せそうで本当に良かったって思っているのよ。拓海を幸せにしてくれてありがとう」
雨宮課長の幸せを心から喜んでくれているんだ。
佐伯リカコが悪い人じゃなくて良かった。
「いえ」
私、雨宮課長を幸せに出来ているのかな?
「あ! ところで中島さん、どうだった?」
佐伯リカコが何かを思い出したようにソファのひじ掛けの部分を叩く。
「どうだったとは何の事で?」
「あ、ごめんなさい。唐突だったわね。あのね」と言って話す、彼女の言葉を聞いて、断片的に思い出した記憶の中の出来事とつながり、胸に刺さっていた棘のようなものが抜けた。
佐伯リカコに言われた。
雨宮課長は藤原さんと支配人室を出て行ったので、今は二人きり。
「あんなデレデレな拓海、見られるとは思わなかった」
佐伯リカコが柔らかな笑みを浮かべる。
「デレデレなんですか?」
あまりピンと来ない。
「中島さんを見る時の表情。あれは好きで堪らないって顔よね。っていうか、私が話している時も、あの人、ずっと中島さんを見ていたわよ。拓海があんな男だとは知らなかった」
腕を組んで、ふんっと呆れたように鼻息をつく、佐伯リカコが可笑しい。クスクス笑っていると「ありがとう」としんみりした声が響いた。
「え?」
「2人の話を聞いていたら、彼が今、幸せだってわかって、ほっとしたの。中島さんのおかげよ。私、離婚する時、さんざん酷い事を言っちゃったから。彼を沢山傷つけて、悲しませて、本当に最悪だった。なのに、七年ぶりに会って、彼は私を助けてくれた。彼は結婚していた時から優しいの。そんな彼に寄り掛かりそうになったけど、『俺たちは完全に終わっている』ってハッキリと言われちゃった」
あははと笑った、眉尻を下げた表情が寂しそう。
「でもね。中島さんと今、幸せそうで本当に良かったって思っているのよ。拓海を幸せにしてくれてありがとう」
雨宮課長の幸せを心から喜んでくれているんだ。
佐伯リカコが悪い人じゃなくて良かった。
「いえ」
私、雨宮課長を幸せに出来ているのかな?
「あ! ところで中島さん、どうだった?」
佐伯リカコが何かを思い出したようにソファのひじ掛けの部分を叩く。
「どうだったとは何の事で?」
「あ、ごめんなさい。唐突だったわね。あのね」と言って話す、彼女の言葉を聞いて、断片的に思い出した記憶の中の出来事とつながり、胸に刺さっていた棘のようなものが抜けた。