雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「さっき、佐伯リカコと何を話していたんだ?」
運転席でハンドルを握っている雨宮課長に訊かれる。
ポールスターを出て、温泉旅館に向かっていた。
鳴子峡にも立ち寄る予定だったけど、ポールスターを出たのが夕方になってしまったので、予定を変更した。
窓の外には東京の空よりもくっきりとした茜色の空が広がっている。
「心配ですか?」
「心配だよ」
シフトレバーを握っていた左手が、膝の上の私の手を握る。
雨宮課長の手はいつもあったかい。
手を握ってもらうといつの間にか安心するようになった。
好き……。
雨宮課長が大好き。
言葉が喉の奥までこみ上げてくるけど、奥手の私は言えない。
記憶喪失前の私は言えたのかな?
「佐伯さん、雨宮課長が幸せそうで良かったと言っていましたよ。それから、デレデレの雨宮課長を見たのは初めてだとか」
「なっ」と言って、雨宮課長が言葉を詰まらせる。進行方向を見ている横顔がほんのりピンク色に見えるのは、夕焼けのせい?
運転席でハンドルを握っている雨宮課長に訊かれる。
ポールスターを出て、温泉旅館に向かっていた。
鳴子峡にも立ち寄る予定だったけど、ポールスターを出たのが夕方になってしまったので、予定を変更した。
窓の外には東京の空よりもくっきりとした茜色の空が広がっている。
「心配ですか?」
「心配だよ」
シフトレバーを握っていた左手が、膝の上の私の手を握る。
雨宮課長の手はいつもあったかい。
手を握ってもらうといつの間にか安心するようになった。
好き……。
雨宮課長が大好き。
言葉が喉の奥までこみ上げてくるけど、奥手の私は言えない。
記憶喪失前の私は言えたのかな?
「佐伯さん、雨宮課長が幸せそうで良かったと言っていましたよ。それから、デレデレの雨宮課長を見たのは初めてだとか」
「なっ」と言って、雨宮課長が言葉を詰まらせる。進行方向を見ている横顔がほんのりピンク色に見えるのは、夕焼けのせい?