雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「私……」
布団から起き上がって、浴衣姿の拓海さんを見る。
拓海さんも同じように起き上がって、座った姿勢でこっちを見る。
心臓がドクドクとしていた。
今までの事が巡って、息が苦しくなる。
「大丈夫だよ」
大きな手が背中を撫でてくれる。
いつだって拓海さんは優しい。
「拓海さん、前に仙台に来た時、この旅館で成瀬君に会いましたよね? それで、私が油断して部屋に入られて、拓海さんが助けてくれて。でも、その夜は拓海さんと言い合いをして」
くっきりした二重瞼の目が大きく見開かれて、うんうんと頷いた。
「そうだよ。そうだ。俺が奈々ちゃんに酷い事を言って、奈々ちゃんを泣かせてしまって」
「でも、拓海さん、一晩中、私の部屋にいてくれた。朝、寝室から出ると座卓の上で寝ている拓海さんがいて、ごめんって寝言を言っていて」
「奈々ちゃん、気づいてたんだ」
拓海さんが照れくさそうに人差し指で頬をかく。
「はい。気まずくて、部屋から出て行く拓海さんに声がかけられなかったんです」
鮮明に思い出せる。
座卓に突っ伏した拓海さんの寝顔とか、朝食の席で拓海さんと気まずかった事とか……。
「それで、旅館を出て、拓海さんが車を運転しながら謝ってくれて、私も謝って、泣いていたら、車を路肩に停めて拓海さんが抱きしめてくれて」
「そうだよ」
「私、拓海さんにキスを」
「うん。俺たちの恋が始まった瞬間だ」
「拓海さん……」
目の奥が熱い。
拓海さんの顔が歪んで見える。
「奈々ちゃん、おかえり」
拓海さんが抱きしめてくれた。
布団から起き上がって、浴衣姿の拓海さんを見る。
拓海さんも同じように起き上がって、座った姿勢でこっちを見る。
心臓がドクドクとしていた。
今までの事が巡って、息が苦しくなる。
「大丈夫だよ」
大きな手が背中を撫でてくれる。
いつだって拓海さんは優しい。
「拓海さん、前に仙台に来た時、この旅館で成瀬君に会いましたよね? それで、私が油断して部屋に入られて、拓海さんが助けてくれて。でも、その夜は拓海さんと言い合いをして」
くっきりした二重瞼の目が大きく見開かれて、うんうんと頷いた。
「そうだよ。そうだ。俺が奈々ちゃんに酷い事を言って、奈々ちゃんを泣かせてしまって」
「でも、拓海さん、一晩中、私の部屋にいてくれた。朝、寝室から出ると座卓の上で寝ている拓海さんがいて、ごめんって寝言を言っていて」
「奈々ちゃん、気づいてたんだ」
拓海さんが照れくさそうに人差し指で頬をかく。
「はい。気まずくて、部屋から出て行く拓海さんに声がかけられなかったんです」
鮮明に思い出せる。
座卓に突っ伏した拓海さんの寝顔とか、朝食の席で拓海さんと気まずかった事とか……。
「それで、旅館を出て、拓海さんが車を運転しながら謝ってくれて、私も謝って、泣いていたら、車を路肩に停めて拓海さんが抱きしめてくれて」
「そうだよ」
「私、拓海さんにキスを」
「うん。俺たちの恋が始まった瞬間だ」
「拓海さん……」
目の奥が熱い。
拓海さんの顔が歪んで見える。
「奈々ちゃん、おかえり」
拓海さんが抱きしめてくれた。