雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】

5

3月14日。ホワイトデー。

バレンタインデーの時に出来なかったデートがしたいと言うと拓海さんがいいよと言ってくれた。

ホテルでディナーをと考えていたけど、「ホワイトデーだから、奈々ちゃんに手料理を振る舞いたい」と拓海さんが言ってくれて、お家で過ごす事になった。

今日は絶対に残業しないと久保田に宣言して、仕事を片付けた。
何とか定時であがり、家に帰るとビーフシチューのいい匂いがしている。

拓海さんは半休を取って、料理をしてくれていた。
ダイニングテーブルにはホテルのレストランみたいな洋食のセッティングがされている。真ん中には赤い薔薇が飾られていて素敵。さすが拓海さん。

「奈々ちゃん、おかえり」

テーブルの前で感激していたら、キッチンから紺色のエプロン姿の拓海さんが出てくる。スーツもいいけど、エプロン姿も似合うな。あまりにもカッコイイからじっと見ていると、「奈々ちゃん、見過ぎ」といつもの台詞を言われる。

「えへっ、拓海さん、ただいま」
ギュッと拓海さんに抱き着く。「甘えん坊だな」って言いながら、長い腕が私を抱きしめてくれる。

毎日、拓海さんに『おかえり』と『ただいま』が言える事が幸せ。
私の帰る所は一生、拓海さんの所がいい。
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