雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「奈々ちゃん、俺と結婚してくれるの?」
「拓海さんが良ければ。前に言っていたでしょ? 結婚するかどうかは私に決めて欲しいって。だから、私からプロポーズをした方がいいかと思いまして」
「何と言ったらいいのか。俺、今、幸せだよ」
「それはイエスって事?」
「もちろん。こんな俺で良かったら結婚して下さい」
「はい。末永くよろしくお願いします」
「奈々ちゃん、ありがとう」
眼鏡の奥の瞳が潤んでいるのを見て、拓海さんが感激しているのがわかる。
良かった。プロポーズは大成功。

「まさか、奈々ちゃんにプロポーズされるとは思わなかった」
「拓海さん、箱を開けて下さい」
うんと頷いて、まだ驚いた表情を浮かべたままの拓海さんがジュエリーの箱を開ける。中にはシンプルなデザインのペアリングが入っている。

「これって結婚指輪?」
「はい。用意させてもらいました」
「俺もプレゼント用意していたんだけど」
拓海さんが気まずそうな笑みを浮かべる。

「知ってます。銀座のジュエリーショップで買ってくれたんでしょ?」

また眼鏡の奥の瞳が大きく見開かれた。
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