雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
会議のあとは12階のカフェバーに寄った。

ブレンドコーヒーを買って窓際のカウンター席に落ち着く。
11時からバリスタの田中さんと打ち合わせだ。

田中さんを待ちながら、ふと店内を見ると蛍光灯を脇に抱えた中島さんの姿が目に入る。

長い蛍光灯が刀のように見えて、凛々しい佇まいが侍のようだ。
会社での中島さんは全く隙がない。

映画館で弱々しく泣いていた姿は会社での彼女を見ていたら誰も想像できないだろう。

もう少し会社でも気を抜けばいいのに。

阿久津部長が上司だったからそうもいかないか。

会議で阿久津と一緒になったが、営業部の課長が阿久津の質問に答えられず、つるし上げにされていた。

弱い者いじめを見せられているようで不愉快だった。

阿久津が宣伝部長になってから、社内の空気が重い。

そろそろ何とかしなければ。

働きやすい環境を作るのは総務課長の俺の仕事だ。
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