雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「拓ちゃん、何かあった?」

終業時間近くに喫煙室で一服していると、庶務係の栗原が入って来た。
2人だけの時は大学時代からの呼び名で呼ばれる。

「なんかって?」

栗原が煙草をくわえてライターを探していたので、つけてやった。

「サンキュ」と言って目を細めて美味そうに煙草を吸う姿はおっさんだ。美人なのにそういう所がもったいない。

栗原も旦那の前では可愛い奥さんをやっているという話を聞くが、想像できない。

「なんか恋愛系の匂いがする」

栗原の言葉にごほっと咽た。

「動揺した?」

からかうようにまつ毛の長い目が笑った。

「栗原の発言が唐突過ぎて驚いたんだよ」
「それで?」
「それでって何が?」
「中島ちゃんが好きなの?」

「はあ?」

何をどうしたらそんな結論になるのか。
俺、昨日、そんなに中島さんに危うかったか?
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