雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「いいんじゃないの。中島ちゃん」
栗原がまだ言ってくる。
「だから違うって」
「何が違うの? 『久兵衛』で飲んでいるって言ったらすぐ来たじゃん。雨宮課長様は大阪から帰って来て忙しかったんじゃないの?」
「総務課長として中島さんを歓迎したかっただけです」
「ふーん。そう言えばさ、阿久津部長とやり合ったんだって? 中島ちゃんを宣伝部に残せって詰め寄ったらしいじゃん」
「理不尽な人事に異議を唱えただけだ。力不足だったけどな」
映画館で中島さんに会った次の日、宣伝部の鈴木課長から中島さんが外される事になったという話を聞き出した。
それで彼女が泣いていた理由がわかった。
大好きな仕事を奪われて悔しかったに違いない。
誰よりも一生懸命に映画宣伝の仕事に向き合っていたのは総務の俺にも伝わるほどだった。
カフェバーで試写会をやりたいと俺の所に来た時は面倒くさい案件を持ち込まれたと思ったが、俺のダメ出しにもめげず、中島さんは一生懸命だった。
だから、何とかしてやりたかった。
しかし、社長の甥である阿久津は思っていた以上に人事に影響力があった。小宮部長なんて完全に阿久津の子分に成り下がっている。
グループ会社への出向を止めるぐらいしか俺にはできなかった。
そんな自分が不甲斐ない。
栗原がまだ言ってくる。
「だから違うって」
「何が違うの? 『久兵衛』で飲んでいるって言ったらすぐ来たじゃん。雨宮課長様は大阪から帰って来て忙しかったんじゃないの?」
「総務課長として中島さんを歓迎したかっただけです」
「ふーん。そう言えばさ、阿久津部長とやり合ったんだって? 中島ちゃんを宣伝部に残せって詰め寄ったらしいじゃん」
「理不尽な人事に異議を唱えただけだ。力不足だったけどな」
映画館で中島さんに会った次の日、宣伝部の鈴木課長から中島さんが外される事になったという話を聞き出した。
それで彼女が泣いていた理由がわかった。
大好きな仕事を奪われて悔しかったに違いない。
誰よりも一生懸命に映画宣伝の仕事に向き合っていたのは総務の俺にも伝わるほどだった。
カフェバーで試写会をやりたいと俺の所に来た時は面倒くさい案件を持ち込まれたと思ったが、俺のダメ出しにもめげず、中島さんは一生懸命だった。
だから、何とかしてやりたかった。
しかし、社長の甥である阿久津は思っていた以上に人事に影響力があった。小宮部長なんて完全に阿久津の子分に成り下がっている。
グループ会社への出向を止めるぐらいしか俺にはできなかった。
そんな自分が不甲斐ない。