雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「あの、風見係長が栗原さんはこちらだって」

中島さんが珍しくおどおどとした様子で栗原に話しかける。

まさか栗原、中島さんをいじめてるんじゃないだろうな?

「中島ちゃん、どうしたの?」
「風見係長がお呼びです」
「あ、はいはい。今行きます」

栗原が灰皿に煙草を押し付けた。

「休憩中にお邪魔してすみません」

目が合うと中島さんに軽く会釈をされたので、同じように返した。

「いや、そろそろ切り上げる所だったから」
「雨宮課長」といきなり栗原に言われた。
「何です?」
「ついでに廊下の段ボール、資料室に持って行ってくれませんか? 私、風見係長に呼ばれちゃってるので」
「あ、それなら私が片付けます」
「中島ちゃん一人じゃ大変だよ」
「でも、課長に雑用なんて」
「してもらって。総務課(うち)はそういうのOKだから。中島ちゃんは課長を手伝ってあげてね。じゃあ、雨宮課長、頼みましたよ」

栗原がポンと俺の肩を叩いて出ていく。

栗原のやつ、一体どういう魂胆だ?
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