雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「雨宮課長、今日はもう終わりですか?」

「えっ」

「あの、良かったらその、ご飯行きませんか?」

ご飯……。

つまり夕飯に誘われたって事か。
中島さんから誘われるなんて初めてだ。

だが、この後はまだ仕事が残っている。

午前中の会議で阿久津に指摘された事をまとめなければならないし、専務に出す報告書の作成もしなければ。明日の準備もある。

「あ、すみません。いきなり今日とかって突然過ぎですよね」

苦笑いを浮かべた中島さんの表情が暗い気がする。

「本当にすみません。また今度、お誘いしますね」

また今度か。確かにその方が都合がいい。

しかし……。

元気がない様子の中島さんが気になる。

昨夜、泣いていたし。

やっぱり何かあったんだろうか?

「中島さん。30分待ってくれる?」

「えっ」

「30分後なら出られるから」

「あ、はい」

30分あれば今日中の仕事は終わる。
他のものはまた明日の朝、二時間早く出社すれば片付けられるだろう。
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