雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
深夜のファミレスで
ハリウッド映画のようなメジャー作品から芸術系のマイナー作品までを幅広く手掛ける大手の映画配給会社【株式会社ウエストシネマズ】。
本社は東京の日比谷公園近くのオフィスビルに入り、雨宮課長は総務部所属。宣伝部に所属する私も社内の試写会イベントの開催や、書類の手続きで何度かお世話になり、顔を合わせれば挨拶程度はする。
まさか社外で、雨宮課長と遭遇するなんて……。
しかも一番弱っている時に。
会社の人に弱っている姿は絶対に見せたくない。中島奈々子は映画館で一人、しくしくと泣くようなキャラじゃない。
上司にだって自分の意見をハッキリと言う宣伝部のエースとして頼られている。中島は女じゃない。男だ。とまで言われるけど、それぐらい強く見せないとこの世界やっていけない。だから、普通の女の子みたいに見られたくない。たとえ、部署の違う上司でも。
「中島さん、立ち話もなんだから、コーヒーでも飲まない?」
「こ、コーヒーですか」
まさか雨宮課長に誘われるとは思わなかった。
何の作戦も立てていない。しかし、ここで帰れば中島奈々子が映画館で泣いていたという噂話が会社に広まる。それは絶対に避けたい。
「あの、雨宮課長がお時間大丈夫なら」
「決まりだね」
ニコッと微笑んだ顔がカッコいい。
さすが女性社員に人気があるだけの事はある。
でも、私は世界中のイケメン俳優たちと顔を合わせて仕事をしているのよ。世界のイケメン俳優に比べれば大した事はない。こんな事で動じるな。
「どうしました?」
メタルフレーム越しの瞳がこっちを向く。
バッチリと視線が合い、ドキッ。
やば。
弱っている時に見る雨宮課長、胸にキュンとくる。
本社は東京の日比谷公園近くのオフィスビルに入り、雨宮課長は総務部所属。宣伝部に所属する私も社内の試写会イベントの開催や、書類の手続きで何度かお世話になり、顔を合わせれば挨拶程度はする。
まさか社外で、雨宮課長と遭遇するなんて……。
しかも一番弱っている時に。
会社の人に弱っている姿は絶対に見せたくない。中島奈々子は映画館で一人、しくしくと泣くようなキャラじゃない。
上司にだって自分の意見をハッキリと言う宣伝部のエースとして頼られている。中島は女じゃない。男だ。とまで言われるけど、それぐらい強く見せないとこの世界やっていけない。だから、普通の女の子みたいに見られたくない。たとえ、部署の違う上司でも。
「中島さん、立ち話もなんだから、コーヒーでも飲まない?」
「こ、コーヒーですか」
まさか雨宮課長に誘われるとは思わなかった。
何の作戦も立てていない。しかし、ここで帰れば中島奈々子が映画館で泣いていたという噂話が会社に広まる。それは絶対に避けたい。
「あの、雨宮課長がお時間大丈夫なら」
「決まりだね」
ニコッと微笑んだ顔がカッコいい。
さすが女性社員に人気があるだけの事はある。
でも、私は世界中のイケメン俳優たちと顔を合わせて仕事をしているのよ。世界のイケメン俳優に比べれば大した事はない。こんな事で動じるな。
「どうしました?」
メタルフレーム越しの瞳がこっちを向く。
バッチリと視線が合い、ドキッ。
やば。
弱っている時に見る雨宮課長、胸にキュンとくる。