雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
望月先生の邸宅は坂の上の山手地区にあった。周辺には大きな洋館が建っている。望月先生の家も白亜の立派な洋館だった。

玄関口で出迎えてくれたはアシスタントの眼鏡の女性だった。望月先生にお詫びに来た事を伝えると、眼鏡の女性は申し訳なさそうな表情で「先生はお会いになりません」と断られた。

当然の回答だと思う。
私も簡単には会わせて頂けないと思っていた。

「そこを何とか、お願いします」

久保田が玄関ポーチの上に正座をし、いきなり土下座をした。

「失言を謝罪させて下さい。お願いします」

久保田の土下座に女性が困ったような笑みを浮かべた。

「頭を上げて下さい」

「お願いします!」

久保田が必死に頭を下げ続ける。

久保田がスーツが汚れる事も気にせず土下座をするとは思わなかった。そんな事も気にしている余裕もないのかもしれない。

私も久保田の隣に座り土下座をした。
こちらが悪いのだ。とにかく望月先生に会って謝罪をしなければ。

「無理をご承知で申し上げているのは重々わかっておりますが、どうか、お力をお貸しいただけないでしょうか。ドア越しでもいいので、望月先生に謝罪する機会を下さい」

「あ、あの本当に困ります。お二人とも、顔をあげて下さい」

困らせているのはわかっているが、今はこの方にすがるしかない。
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