ポケットに未練がましい恋歌を
目の前が真っ暗になった。
「あいつ、この家に帰ってきてないでしょ?
うちに泊まってんの。
私と一緒にいたいって、聞かないからさ」
「そう……ですか……」
大弥くんはもう、私の彼ではないんですか……
絶望のため息とともに、両肩が落ちる。
「私…いつの間にか…フラれてたんだ……」
――彼に愛されている。
そう思い込んで、彼のアパートに居座っていた自分が
惨めで悲しくて……涙が止まらない。
「大弥が夢を叶える一番の近道は
あんたが一刻も早く
大弥の前から消えることだからね!」
玄関先で、ヒールを履き終えた莉緒さんは
「元カレの夢、絶対に壊すなよ!」
私にドスの効いた声をぶつけ、この部屋から出ていった。
ガチャンと乱暴にしまったドア。
そのドアを、ただただ見つめる私。
私の恋愛が…終わっちゃったんだ…
現実に打ちのめされ、悲しくて苦しい瞬間だった。