ポケットに未練がましい恋歌を
「大弥さ、夢にストイックすぎる癖をどうにかしないと、歌以外の全てを失うぞ!」
「仕事以外の時間は全て音楽に費やさないと、夢なんて叶わないよ」
「そりゃそうだけどさ、1か月半も家に帰らず、スマホすら見てないって。
俺がオマエの彼女だったら、即、縁切りするけどな」
手をヒラつかせる雅成に、俺はフッと噴き出した。
雅成の奴、何を言ってるんだよ。
「彼女は俺の夢を、誰よりも応援してくれてるんだよ。
男を束縛しまくりのそこらの女達と俺のひよりを、一緒にしないで欲しいんだけど」
「はいはい」と、呆れ声をこぼした雅成は
「大弥がまだ、ひよりちゃんを愛してたことに安心したわ。
だってオマエ、カレンダーのポケットに毎日メッセ書いて入れるのがめんどいって、ぼやいてたし」
と、苦笑い。