だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「──ちょっ、俺狙いかよ!?」
考え事をしながら近寄って来た人を片っ端から切り伏せる作業をする事数分。突然、要塞の方からカイルの叫び声が聞こえて来た。
慌ててカイルの方を見ると、何とそこには彼を包囲する紅獅子騎士団の姿が。
右翼隊にも左翼隊にも姿がないみたいだったから、この大軍の中にいるとは思ってたけど、まさかカイルを集中狙いするなんて。
そうか、これがレオの作戦か! この布陣は全て、厄介な魔導師を真っ先に潰す為のものだったって事!?
流石に突然の事だったからか、はたまた大きな魔法をぶっぱなした直後だったからか、カイルは反応が遅れて紅獅子騎士団の攻撃を食らってしまった。
だがすんでのところで急所は躱し、翼の魔力で空に飛び上がった──が、しかし。それを予想していたかのように戦場に突風が吹き荒れた。
風があまりにも強く、カイルは上手く飛べずそこで紅獅子騎士団の者に撃ち落とされた。
「ッ……くっそ、これは流石にキツイっつの……!」
血をドクドクと流しながら、カイルは頬に冷や汗を浮かべていた。突風の所為で変装が少し解け、魔法薬で変えられた彼の金髪が陽のもとに晒される。
カイルの前に紅獅子騎士団団長のモルスさんが立ち、すかさず剣を振り下ろそうとした所で、
「ルカ!!」
白夜でその一撃を受け止めた。突然横から割って入った私に、モルスさんは少し驚いていた。
よかった、間に合った。これでも一応全力疾走だったんだけど、それなりに距離が離れていた上に障害が多くて。
いや、御託はいい。今はとにかく手負いのカイルを連れてこの包囲網を突破する事が最優先だ。
「ルカ、大丈夫?!」
「るか……ああ、うん。ルカ……そうだな、ルカだ。俺は平気だ。悪ぃな、少しミスっちまった」
カイルは少し眉尻を下げてヘラヘラと笑う。
「お前も、襲撃者一味の者か。ならば諸共首を獲るだけの話だ!」
モルスさんが殺気を放つ。それに触発され、私も本気で戦う気になった。元よりモルスさん率いる紅獅子騎士団の面々を一度に相手するとなると、本気でなければならなかった。
殺すつもりはなかったけど、殺るしかないのなら殺らなければ。
まずは後ろで負傷しているカイルに、小声で「今のうちに逃げて」と伝える。そしてカイルが「……すまん、頼んだ」と言って瞬間転移で逃げたのを確認してから、モルスさんに対抗するように私も殺気を放つ。
カイルを逃がした事に悔しさを露わにする暇もなく、氷の血筋の殺気にあてられた紅獅子騎士団の面々に向け、私はある男のように言葉を紡いだ。
「ハンッ、やれるものならやってみろ。お前達如きにそのような事が成せるならな」
白夜を構え、私は皇帝のように威圧的に口を動かした。それは変声魔導具の影響もあって皇帝感が増し、聞いた者に大なり小なりの緊張や恐怖を与える言葉となっていた。
一部の騎士を除き、紅獅子騎士団の面々は私の放つプレッシャーにたじろぐ。
……だからこそモルスさん達一部の強者の凄さが分かる。私渾身のプレッシャーにも無反応だなんて。
私もまだまだって事ね。
「……我々の目的はあの魔導師だ。ローズニカ様と王女殿下の居場所を吐けば、お前の命だけは見逃そう」
「それを私に言えと? フッ、馬鹿馬鹿しい。何故我が目的を貴様らに話してまで生き残らねばならんのか……甚だ疑問だな」
モルスさんの言葉に、私は鼻で笑うような態度をとった。この態度特に理由はない。皇帝ならこうしそうだと思ったからやっただけだ。
「ならば死ね、大罪人よ」
「──嫌に決まってるだろ」
考え事をしながら近寄って来た人を片っ端から切り伏せる作業をする事数分。突然、要塞の方からカイルの叫び声が聞こえて来た。
慌ててカイルの方を見ると、何とそこには彼を包囲する紅獅子騎士団の姿が。
右翼隊にも左翼隊にも姿がないみたいだったから、この大軍の中にいるとは思ってたけど、まさかカイルを集中狙いするなんて。
そうか、これがレオの作戦か! この布陣は全て、厄介な魔導師を真っ先に潰す為のものだったって事!?
流石に突然の事だったからか、はたまた大きな魔法をぶっぱなした直後だったからか、カイルは反応が遅れて紅獅子騎士団の攻撃を食らってしまった。
だがすんでのところで急所は躱し、翼の魔力で空に飛び上がった──が、しかし。それを予想していたかのように戦場に突風が吹き荒れた。
風があまりにも強く、カイルは上手く飛べずそこで紅獅子騎士団の者に撃ち落とされた。
「ッ……くっそ、これは流石にキツイっつの……!」
血をドクドクと流しながら、カイルは頬に冷や汗を浮かべていた。突風の所為で変装が少し解け、魔法薬で変えられた彼の金髪が陽のもとに晒される。
カイルの前に紅獅子騎士団団長のモルスさんが立ち、すかさず剣を振り下ろそうとした所で、
「ルカ!!」
白夜でその一撃を受け止めた。突然横から割って入った私に、モルスさんは少し驚いていた。
よかった、間に合った。これでも一応全力疾走だったんだけど、それなりに距離が離れていた上に障害が多くて。
いや、御託はいい。今はとにかく手負いのカイルを連れてこの包囲網を突破する事が最優先だ。
「ルカ、大丈夫?!」
「るか……ああ、うん。ルカ……そうだな、ルカだ。俺は平気だ。悪ぃな、少しミスっちまった」
カイルは少し眉尻を下げてヘラヘラと笑う。
「お前も、襲撃者一味の者か。ならば諸共首を獲るだけの話だ!」
モルスさんが殺気を放つ。それに触発され、私も本気で戦う気になった。元よりモルスさん率いる紅獅子騎士団の面々を一度に相手するとなると、本気でなければならなかった。
殺すつもりはなかったけど、殺るしかないのなら殺らなければ。
まずは後ろで負傷しているカイルに、小声で「今のうちに逃げて」と伝える。そしてカイルが「……すまん、頼んだ」と言って瞬間転移で逃げたのを確認してから、モルスさんに対抗するように私も殺気を放つ。
カイルを逃がした事に悔しさを露わにする暇もなく、氷の血筋の殺気にあてられた紅獅子騎士団の面々に向け、私はある男のように言葉を紡いだ。
「ハンッ、やれるものならやってみろ。お前達如きにそのような事が成せるならな」
白夜を構え、私は皇帝のように威圧的に口を動かした。それは変声魔導具の影響もあって皇帝感が増し、聞いた者に大なり小なりの緊張や恐怖を与える言葉となっていた。
一部の騎士を除き、紅獅子騎士団の面々は私の放つプレッシャーにたじろぐ。
……だからこそモルスさん達一部の強者の凄さが分かる。私渾身のプレッシャーにも無反応だなんて。
私もまだまだって事ね。
「……我々の目的はあの魔導師だ。ローズニカ様と王女殿下の居場所を吐けば、お前の命だけは見逃そう」
「それを私に言えと? フッ、馬鹿馬鹿しい。何故我が目的を貴様らに話してまで生き残らねばならんのか……甚だ疑問だな」
モルスさんの言葉に、私は鼻で笑うような態度をとった。この態度特に理由はない。皇帝ならこうしそうだと思ったからやっただけだ。
「ならば死ね、大罪人よ」
「──嫌に決まってるだろ」