だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「ここ……最近の取引が記録されてるんだけど、オセロマイト産の果実の値段が両国間の商売取引の規定価格よりずっと安く記されてるの。これ、きっと違法取引」
「え、そうなの……?」
メイシアの話を聞いて、私はただ感心する事しか出来なかった。
流石は大商会シャンパー商会会長の一人娘、商売ごととなると強いわね……。
なんていう風にメイシアの説明を聞く私とは打って変わって、ボスとやらは顔を更に青くしていた。
……こりゃ黒だわ。
「メイシア、他に何かおかしい所はない?」
「っ、おいやめろ!!」
「他には……」
メイシアに更なる粗探しを頼むと、ボスとやらがそれを止めようと必死にもがく。しかしそれも、首に剣先を突き立てたらピタリと止まった。
「そのオセロマイトから仕入れた果実を規定価格より遥かに高く売ってるみたい。恐らくこの果実はオセロマイトの農家が処理に困っていた不出来なもので、それを活用する方法がある……みたいな事を言って安く仕入れたんだと思う。逆にフォーロイトでは、これは希少価値の高いものだ……って適当な事を言って、専門的知識の無い人達に高く売りつけたんだと思うよ」
つらつらとメイシアが語るそれは、私には難しくてよく分からなかったのだけれど……とにかくこれが事実であり、その責任者がこのクソ野郎である事はなんとか理解した。
「……っテメェみたいなガキに何が分かる! ろくに字も数字も読めねぇガキが知ったような口に聞くんじゃねぇ!」
そしてそのクソ野郎が汚い唾を飛ばしながらメイシアを愚弄した。それにむかついて、私はつい、その男の頭を鞘で思い切り殴ってしまった。
メイシアの事何も知らない癖に知ったような口聞くなと言おうとした時、なんとメイシアからそれに反論した。
「……わたしはメイシア・シャンパージュです。父親の名前はホリミエラ・シャンパージュ、シャンパー商会会長でシャンパージュ伯爵家当主。わたしは、昔から父や祖父の影響で多くの取引と様々な帳簿を見てきました」
「──シャンパージュ……? シャンパー、商会って……」
メイシアの名前を聞いたクソ野郎は、完全に戦意を喪失したのか、その場に膝から崩れ落ちた。……シャンパー商会は帝国市場を牛耳っているとまで言われている一大商会。
帝国で商売をする者なら誰もが恐れ敬う存在……それがシャンパージュ伯爵家が運営するシャンパー商会だった。
流石に、その名を聞いてしまっては歯向かう気も失せたのだろう。クソ野郎はようやく大人しく気絶してくれた。
私達は帳簿や剣を片手に、クソ野郎を引きずって廊下を進んでいく。帳簿類はメイシアが持ってくれたので、私は剣だけを持ってクソ野郎の襟元を引っ張っていた。
ちなみに、メイシアも空いている義手《みぎて》で一緒に引っ張ってくれている。
「……ありがとう、メイシア」
「急に、どうしたの?」
長い廊下をゆっくり歩きながら、私はメイシアに感謝の言葉を伝えた。
メイシアは不思議そうにこてんと首を傾げた。
「助けに来てくれてありがとう……って、さっき言い損ねたから」
「っ、いいの……これぐらい……」
メイシアはその赤い瞳を大きく丸くして、その後耳まで赤くして俯いた。……照れてるのかな、可愛いな。
「……それより、スミレちゃんが生きてて……本当によかった」
ほんのり赤く染まった顔で、またふにゃりと微笑んでメイシアは呟く。
それに、私の胸はどうしようもなく高鳴ってしまう。だってあんまりにも可愛いんだもの!
そうやって、私達はまるで友達のように、和気藹々としながら進んでいく。
他の子供達とディオさん達がいるであろう噴水広場を目指して、ゆっくりと……ゆっくりと、話をしながら。
「え、そうなの……?」
メイシアの話を聞いて、私はただ感心する事しか出来なかった。
流石は大商会シャンパー商会会長の一人娘、商売ごととなると強いわね……。
なんていう風にメイシアの説明を聞く私とは打って変わって、ボスとやらは顔を更に青くしていた。
……こりゃ黒だわ。
「メイシア、他に何かおかしい所はない?」
「っ、おいやめろ!!」
「他には……」
メイシアに更なる粗探しを頼むと、ボスとやらがそれを止めようと必死にもがく。しかしそれも、首に剣先を突き立てたらピタリと止まった。
「そのオセロマイトから仕入れた果実を規定価格より遥かに高く売ってるみたい。恐らくこの果実はオセロマイトの農家が処理に困っていた不出来なもので、それを活用する方法がある……みたいな事を言って安く仕入れたんだと思う。逆にフォーロイトでは、これは希少価値の高いものだ……って適当な事を言って、専門的知識の無い人達に高く売りつけたんだと思うよ」
つらつらとメイシアが語るそれは、私には難しくてよく分からなかったのだけれど……とにかくこれが事実であり、その責任者がこのクソ野郎である事はなんとか理解した。
「……っテメェみたいなガキに何が分かる! ろくに字も数字も読めねぇガキが知ったような口に聞くんじゃねぇ!」
そしてそのクソ野郎が汚い唾を飛ばしながらメイシアを愚弄した。それにむかついて、私はつい、その男の頭を鞘で思い切り殴ってしまった。
メイシアの事何も知らない癖に知ったような口聞くなと言おうとした時、なんとメイシアからそれに反論した。
「……わたしはメイシア・シャンパージュです。父親の名前はホリミエラ・シャンパージュ、シャンパー商会会長でシャンパージュ伯爵家当主。わたしは、昔から父や祖父の影響で多くの取引と様々な帳簿を見てきました」
「──シャンパージュ……? シャンパー、商会って……」
メイシアの名前を聞いたクソ野郎は、完全に戦意を喪失したのか、その場に膝から崩れ落ちた。……シャンパー商会は帝国市場を牛耳っているとまで言われている一大商会。
帝国で商売をする者なら誰もが恐れ敬う存在……それがシャンパージュ伯爵家が運営するシャンパー商会だった。
流石に、その名を聞いてしまっては歯向かう気も失せたのだろう。クソ野郎はようやく大人しく気絶してくれた。
私達は帳簿や剣を片手に、クソ野郎を引きずって廊下を進んでいく。帳簿類はメイシアが持ってくれたので、私は剣だけを持ってクソ野郎の襟元を引っ張っていた。
ちなみに、メイシアも空いている義手《みぎて》で一緒に引っ張ってくれている。
「……ありがとう、メイシア」
「急に、どうしたの?」
長い廊下をゆっくり歩きながら、私はメイシアに感謝の言葉を伝えた。
メイシアは不思議そうにこてんと首を傾げた。
「助けに来てくれてありがとう……って、さっき言い損ねたから」
「っ、いいの……これぐらい……」
メイシアはその赤い瞳を大きく丸くして、その後耳まで赤くして俯いた。……照れてるのかな、可愛いな。
「……それより、スミレちゃんが生きてて……本当によかった」
ほんのり赤く染まった顔で、またふにゃりと微笑んでメイシアは呟く。
それに、私の胸はどうしようもなく高鳴ってしまう。だってあんまりにも可愛いんだもの!
そうやって、私達はまるで友達のように、和気藹々としながら進んでいく。
他の子供達とディオさん達がいるであろう噴水広場を目指して、ゆっくりと……ゆっくりと、話をしながら。