だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「──本人の同意なく勝手に加護を与えたから、バレないように加護が発動しないようにした。それに伴い精霊化もかなり進行が遅れてるんだよ」
気まずくて、彼から完全に目を逸らす。
これにフィンはピタリと体を制止させ、眉を顰めた。
「……まさか、姫君本人の意思を無視して加護を与えたと? 一体貴方は何をなさっているのですか?」
「おいやめろそんな目でボクを見るな。ボクだって当時は必死だったんだよ」
「貴方はご自分の加護をなんだと思ってるのですか? 星王の加護を持つ人間など前代未聞の存在にして、精霊界に新たな時代を吹き込む新星なのですよ? それを王は一時の激情で?」
近い近い近い。そんなにも目を見開いて詰め寄らないでくれ。
フィンの蒸し焼くような圧と視線が、ボクの体に痛く突き刺さる。少しでも身動きすれば、すぐに胸と胸が当たってしまうような距離で……ボクは必死にフィンから顔を逸らしていた。
「そーだそーだ! フィンさんもっと言ってやってくれ!!」
なんだあいつ。もっと仕事増やして欲しいのか、エンヴィーの奴は。
ギンッ、と一度エンヴィーを睨むと、奴は大袈裟に肩を跳ねさせて借りて来た猫のように大人しくなった。
「王よ……本人の同意なく、という事は姫君には精霊化する意思も無いという事ですね? 我々は王より姫君の話をお聞きしてからというもの、一番星の輝きをこの目にする事を心待ちにしておりました。それなのに…………我々は、王に弄ばれていたのでしょうか?」
距離感を見誤った男がそのままの距離で淡々と、されど静かに怒りを蓄えて捲し立てる。
くっ、良心を責めてくるじゃないか……!
「本人の意思は無視したけど、でもいずれ必ず、彼女を精霊界に連れて来る。ボクはあの子を絶対に死なせたくないから。一体そこまでどれだけの年数がかかるかは分からないけど、そこを違えるつもりは無い。必ず、いつか同意を得るつもりだよ」
ぎこちない動きで顔をフィンの方に向ける。彼とは身長も近いので、まさに目と鼻の先。互いの呼吸さえ感じられる程に近く、フィンの空虚な瞳を見つめてボクは言い切った。
この発言にフィンは渋々納得し、「……ならば、問題ありません」と言って一歩後ろに下がった。
いつか……アミィが大人になった時、ボクは彼女に加護の事を伝え、精霊となる事や精霊界に連れ帰る事について同意を得るつもりだ。
ボクが一度加護を与えた時点で精霊化は避けられない。そして精霊が契約も無しに人間界にい続けるのは双方にとってもあまりいい事ではない。
エンヴィーのように人間の規格に自身を落とし込んでいようとも、あまり長期間の滞在は褒められた事ではない。
つまり、アミィはどちらにせよ精霊界に行くしかないのだ。
流石に同意無しでそれは可哀想だと思って、精霊化を極限まで遅らせているけれど……アミィが同意してくれたならば、それもやめてすぐさま彼女を精霊にするつもりだ。
だって、ボクはアミィに死んで欲しくないから。
これからもずっと一緒にいたい。永遠に、未来永劫彼女と一緒にいたい。ボクがアミィを幸せにしたい。
あの子が望む幸せを、他の誰でもないボクが与えてあげたい。
確かに本人の同意はまだ得てないけれど、でも、きっとアミィならボクと一緒にいる事を選んでくれるから。
君が恐れる死を、ボクがなくしてあげる。
君が望む幸せを、ボクが用意してあげる。
だからボクを選んでよ、アミィ。
星は瞬きいずれ消えるものだけど、君の輝きだけは何があろうもこの世から消させない。永遠のものとしてみせるから。
ボクがずっとずっと君に会いたかったように、君だってボクに会いたがってくれてたんだろう?
ならば、きっと──……ボクの想いだって、受け入れてくれるよね?
気まずくて、彼から完全に目を逸らす。
これにフィンはピタリと体を制止させ、眉を顰めた。
「……まさか、姫君本人の意思を無視して加護を与えたと? 一体貴方は何をなさっているのですか?」
「おいやめろそんな目でボクを見るな。ボクだって当時は必死だったんだよ」
「貴方はご自分の加護をなんだと思ってるのですか? 星王の加護を持つ人間など前代未聞の存在にして、精霊界に新たな時代を吹き込む新星なのですよ? それを王は一時の激情で?」
近い近い近い。そんなにも目を見開いて詰め寄らないでくれ。
フィンの蒸し焼くような圧と視線が、ボクの体に痛く突き刺さる。少しでも身動きすれば、すぐに胸と胸が当たってしまうような距離で……ボクは必死にフィンから顔を逸らしていた。
「そーだそーだ! フィンさんもっと言ってやってくれ!!」
なんだあいつ。もっと仕事増やして欲しいのか、エンヴィーの奴は。
ギンッ、と一度エンヴィーを睨むと、奴は大袈裟に肩を跳ねさせて借りて来た猫のように大人しくなった。
「王よ……本人の同意なく、という事は姫君には精霊化する意思も無いという事ですね? 我々は王より姫君の話をお聞きしてからというもの、一番星の輝きをこの目にする事を心待ちにしておりました。それなのに…………我々は、王に弄ばれていたのでしょうか?」
距離感を見誤った男がそのままの距離で淡々と、されど静かに怒りを蓄えて捲し立てる。
くっ、良心を責めてくるじゃないか……!
「本人の意思は無視したけど、でもいずれ必ず、彼女を精霊界に連れて来る。ボクはあの子を絶対に死なせたくないから。一体そこまでどれだけの年数がかかるかは分からないけど、そこを違えるつもりは無い。必ず、いつか同意を得るつもりだよ」
ぎこちない動きで顔をフィンの方に向ける。彼とは身長も近いので、まさに目と鼻の先。互いの呼吸さえ感じられる程に近く、フィンの空虚な瞳を見つめてボクは言い切った。
この発言にフィンは渋々納得し、「……ならば、問題ありません」と言って一歩後ろに下がった。
いつか……アミィが大人になった時、ボクは彼女に加護の事を伝え、精霊となる事や精霊界に連れ帰る事について同意を得るつもりだ。
ボクが一度加護を与えた時点で精霊化は避けられない。そして精霊が契約も無しに人間界にい続けるのは双方にとってもあまりいい事ではない。
エンヴィーのように人間の規格に自身を落とし込んでいようとも、あまり長期間の滞在は褒められた事ではない。
つまり、アミィはどちらにせよ精霊界に行くしかないのだ。
流石に同意無しでそれは可哀想だと思って、精霊化を極限まで遅らせているけれど……アミィが同意してくれたならば、それもやめてすぐさま彼女を精霊にするつもりだ。
だって、ボクはアミィに死んで欲しくないから。
これからもずっと一緒にいたい。永遠に、未来永劫彼女と一緒にいたい。ボクがアミィを幸せにしたい。
あの子が望む幸せを、他の誰でもないボクが与えてあげたい。
確かに本人の同意はまだ得てないけれど、でも、きっとアミィならボクと一緒にいる事を選んでくれるから。
君が恐れる死を、ボクがなくしてあげる。
君が望む幸せを、ボクが用意してあげる。
だからボクを選んでよ、アミィ。
星は瞬きいずれ消えるものだけど、君の輝きだけは何があろうもこの世から消させない。永遠のものとしてみせるから。
ボクがずっとずっと君に会いたかったように、君だってボクに会いたがってくれてたんだろう?
ならば、きっと──……ボクの想いだって、受け入れてくれるよね?