だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「お、魔人化も無事出来たみてェだな」
いつの間にかあの三人は立ち上がっており、体を覆っていた赤黒い靄は霧散した。
一時的に人間を魔族へと変える魔法なだけあって、適正のある人間と波長の合う系統の魔族へと変貌するんだが……想像以上にとんでもない事になったな。
マクベスタは、反転した黒い肌に純黒なる天使の翼を持つ、堕天族。
イリオーデは、首から上で青い炎が燃え盛る顔の無い一族、妖魔騎士族。
ルティは、黒い山羊の角と悪魔の羽が生える黒山羊と悪魔の混血、黒山羊族。
いやはや……魔界でもかなり希少かつ凶暴な種族へと変貌しやがったぞ、アイツ等! やったのオレサマだけどな!!
「……──お前を死なせたりはしない。絶対に」
「……──私は、あの御方を守るのだ!」
「……──ああっ! 主君っ、主君!!」
ほぼ同時に魔人化を完了した三人が、一人で黒の竜と戦うアミレスの姿を見て、本能のままに動き出した。
マクベスタは雷を纏う聖剣を取り出し、翼を羽ばたかせてクロノへと襲いかかった。聖剣ゼースと雷の魔力と堕天族の力故か、なんとその一撃はクロノの翼に大きな傷をつけた。
イリオーデはクロノの攻撃からアミレスを守るように前に出て、青炎を盾にした。妖魔騎士族の青炎は守護の炎。何かを守る時にその真価を発揮する。
そしてルティは……恍惚とした表情でアミレスの傍に行ったかと思えば、「後でたくさん褒めてくださいね!」と嗤い、闇で象った大鎌でクロノの鱗に深い傷を作った。
「……アイツ等、想像以上に強くね?」
まさかオレサマの口からこんな言葉が零れ落ちる日が来るとは。
アミレスの助けになればいいなぐらいの気持ちで、アイツ等を魔人化したが……何か思ってたより強くなっちまった。何だこれ、面白くねェな。
『な、何だよ君達は……!?』
「そっ、そうよ! ちょっと、何その姿?! 一体何があったの?!?!」
クロノもアミレスも、マクベスタ達の変貌っぷりにかなり動揺している。
それもその筈。さっきまで恐怖から身動き取れなかった奴等が、急に人間辞めて暴れ出したら誰だって驚愕するよなァ。
「さあ。オレも知らないよ」
「えっとぉ……何でさり気なく手を触るの……?」
「お前の無事を確認したくて」
「ひゃっ!? な、舐め……っ?!」
アミレスの手を取ると、マクベスタは血が流れ出るアイツの腕を舐めた。確かに堕天族の体液にはある種の治癒効果があるが……それを無言で、唐突に、無意識でやるとは。
普段のアイツからは考えられないな。理性ぶっ壊れてるだけあるわァ。
「王女殿下、大丈夫ですか? こんなにもお怪我を……っ」
「え? いや、これぐらいは別に……というか貴方その顔、大丈夫なの? 熱くないの?」
「顔? いえ、特には」
「マジか…………」
マクベスタの行動に戸惑いつつも、イリオーデの顔の炎が気になって仕方無い様子のアミレス。口元だけ僅かに見えるが全体的に青炎に包まれていて……そんなイリオーデの頭部に視線が集中していた。
青炎はまるでイリオーデの髪のように長くゆらりと後方でも燃えている。それが不思議で、気もそぞろなようだ。
でも気にならないモンなのかね、あの炎。
いつの間にかあの三人は立ち上がっており、体を覆っていた赤黒い靄は霧散した。
一時的に人間を魔族へと変える魔法なだけあって、適正のある人間と波長の合う系統の魔族へと変貌するんだが……想像以上にとんでもない事になったな。
マクベスタは、反転した黒い肌に純黒なる天使の翼を持つ、堕天族。
イリオーデは、首から上で青い炎が燃え盛る顔の無い一族、妖魔騎士族。
ルティは、黒い山羊の角と悪魔の羽が生える黒山羊と悪魔の混血、黒山羊族。
いやはや……魔界でもかなり希少かつ凶暴な種族へと変貌しやがったぞ、アイツ等! やったのオレサマだけどな!!
「……──お前を死なせたりはしない。絶対に」
「……──私は、あの御方を守るのだ!」
「……──ああっ! 主君っ、主君!!」
ほぼ同時に魔人化を完了した三人が、一人で黒の竜と戦うアミレスの姿を見て、本能のままに動き出した。
マクベスタは雷を纏う聖剣を取り出し、翼を羽ばたかせてクロノへと襲いかかった。聖剣ゼースと雷の魔力と堕天族の力故か、なんとその一撃はクロノの翼に大きな傷をつけた。
イリオーデはクロノの攻撃からアミレスを守るように前に出て、青炎を盾にした。妖魔騎士族の青炎は守護の炎。何かを守る時にその真価を発揮する。
そしてルティは……恍惚とした表情でアミレスの傍に行ったかと思えば、「後でたくさん褒めてくださいね!」と嗤い、闇で象った大鎌でクロノの鱗に深い傷を作った。
「……アイツ等、想像以上に強くね?」
まさかオレサマの口からこんな言葉が零れ落ちる日が来るとは。
アミレスの助けになればいいなぐらいの気持ちで、アイツ等を魔人化したが……何か思ってたより強くなっちまった。何だこれ、面白くねェな。
『な、何だよ君達は……!?』
「そっ、そうよ! ちょっと、何その姿?! 一体何があったの?!?!」
クロノもアミレスも、マクベスタ達の変貌っぷりにかなり動揺している。
それもその筈。さっきまで恐怖から身動き取れなかった奴等が、急に人間辞めて暴れ出したら誰だって驚愕するよなァ。
「さあ。オレも知らないよ」
「えっとぉ……何でさり気なく手を触るの……?」
「お前の無事を確認したくて」
「ひゃっ!? な、舐め……っ?!」
アミレスの手を取ると、マクベスタは血が流れ出るアイツの腕を舐めた。確かに堕天族の体液にはある種の治癒効果があるが……それを無言で、唐突に、無意識でやるとは。
普段のアイツからは考えられないな。理性ぶっ壊れてるだけあるわァ。
「王女殿下、大丈夫ですか? こんなにもお怪我を……っ」
「え? いや、これぐらいは別に……というか貴方その顔、大丈夫なの? 熱くないの?」
「顔? いえ、特には」
「マジか…………」
マクベスタの行動に戸惑いつつも、イリオーデの顔の炎が気になって仕方無い様子のアミレス。口元だけ僅かに見えるが全体的に青炎に包まれていて……そんなイリオーデの頭部に視線が集中していた。
青炎はまるでイリオーデの髪のように長くゆらりと後方でも燃えている。それが不思議で、気もそぞろなようだ。
でも気にならないモンなのかね、あの炎。