だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「マクベスタは堕天族、イリオーデは妖魔騎士族、ルティは黒山羊族……それぞれが波長の合う魔族へと変貌した。これは、人間を魔族に変える魔人化って魔法の効果なんだよね」
何か急に色々知らない言葉が出てきたわ。いや、全部一度は聞いた事があるのだけど……まさかこんなところで聞くとは思ってなかった。
「人間を魔族に変える魔法? じゃあ、今皆は魔族になっちゃってるって事?」
「正確には魔族と人間の境界にある魔人だけどね。一時的なものだから安心してよ、もう暫くしたら勝手に元に戻るから」
「これ、勝手に戻るものなの……?」
「勝手に戻るよ。それまではこのまま理性消失本能爆発みたいな感じだけどねぇ」
ちょっとしたスパイス程度に韻を踏むんじゃない。
「……ん? 本能爆発ってどういう事?」
ちらりとマクベスタを一瞥し、シュヴァルツに更に問う。すると彼はニンマリと笑って、
「魔族ってね、基本的に理性がないの。理性ある種族と思われてる奴等のそれは、理性に見せかけた知性。だからね、人間なら理性で抑えられる筈の欲求も、魔族は抑える事が出来ない。それが魔族が本能のままに生きる種族と言われる所以なんだ」
楽しげな声で語り出した。
「だから、今のマクベスタ達は魔人化によって理性を失って本能のままに行動するようになってるの。普段は『そんな事しちゃいけない』『迷惑だから我慢しないと』って思って抑え込んできた色んな衝動やら欲求が、手綱を失って暴れ出してるんだよね!」
愉悦に歪むシュヴァルツの大きな瞳。その底意地の悪そうな笑顔は、よく見たらマクベスタ達に向けられていて。
ねぇ今どんな気持ち? と今にも言い出しそうなシュヴァルツの表情に、マクベスタ達は一瞬目を丸くした。私が、彼等の方を振り向いて「そうなの?」と聞いた瞬間。
「「「…………」」」
三人共、口を真一文字に結んだまま顔を逸らした。どうやら、シュヴァルツの言ってる事は本当らしい。
「いや何か喋ってよ。本能のままに行動って……皆して過保護になるのが本能なの? 寧ろ、普段の過保護っぷりですら実は理性で抑えられてたものだった事に驚きだわ」
「アレを過保護で済ませられるおねぇちゃんにぼくは驚きだよ」
スンッ……と急に真顔になったシュヴァルツがピシャリと言い放つ。その言葉がどうにも不服で、「何が……?」と私の口からは不満が漏れ出ていた。
「というか、何でそんな事したの?」
「何でって……そりゃあ、おねぇちゃんの為だけど。おねぇちゃんが死なないように、マクベスタ達が戦えるようにしたの。戦力は多い方がいいと思ったからね」
「私が、死なないように……」
「そうだよ。だって、ぼくもおねぇちゃんには死んで欲しくないからね」
シュヴァルツがニコリと笑う。どこか含みのある言い方に謎の不安が頭をよぎるが……その不安の正体を、私は見つけられなかった。
何か急に色々知らない言葉が出てきたわ。いや、全部一度は聞いた事があるのだけど……まさかこんなところで聞くとは思ってなかった。
「人間を魔族に変える魔法? じゃあ、今皆は魔族になっちゃってるって事?」
「正確には魔族と人間の境界にある魔人だけどね。一時的なものだから安心してよ、もう暫くしたら勝手に元に戻るから」
「これ、勝手に戻るものなの……?」
「勝手に戻るよ。それまではこのまま理性消失本能爆発みたいな感じだけどねぇ」
ちょっとしたスパイス程度に韻を踏むんじゃない。
「……ん? 本能爆発ってどういう事?」
ちらりとマクベスタを一瞥し、シュヴァルツに更に問う。すると彼はニンマリと笑って、
「魔族ってね、基本的に理性がないの。理性ある種族と思われてる奴等のそれは、理性に見せかけた知性。だからね、人間なら理性で抑えられる筈の欲求も、魔族は抑える事が出来ない。それが魔族が本能のままに生きる種族と言われる所以なんだ」
楽しげな声で語り出した。
「だから、今のマクベスタ達は魔人化によって理性を失って本能のままに行動するようになってるの。普段は『そんな事しちゃいけない』『迷惑だから我慢しないと』って思って抑え込んできた色んな衝動やら欲求が、手綱を失って暴れ出してるんだよね!」
愉悦に歪むシュヴァルツの大きな瞳。その底意地の悪そうな笑顔は、よく見たらマクベスタ達に向けられていて。
ねぇ今どんな気持ち? と今にも言い出しそうなシュヴァルツの表情に、マクベスタ達は一瞬目を丸くした。私が、彼等の方を振り向いて「そうなの?」と聞いた瞬間。
「「「…………」」」
三人共、口を真一文字に結んだまま顔を逸らした。どうやら、シュヴァルツの言ってる事は本当らしい。
「いや何か喋ってよ。本能のままに行動って……皆して過保護になるのが本能なの? 寧ろ、普段の過保護っぷりですら実は理性で抑えられてたものだった事に驚きだわ」
「アレを過保護で済ませられるおねぇちゃんにぼくは驚きだよ」
スンッ……と急に真顔になったシュヴァルツがピシャリと言い放つ。その言葉がどうにも不服で、「何が……?」と私の口からは不満が漏れ出ていた。
「というか、何でそんな事したの?」
「何でって……そりゃあ、おねぇちゃんの為だけど。おねぇちゃんが死なないように、マクベスタ達が戦えるようにしたの。戦力は多い方がいいと思ったからね」
「私が、死なないように……」
「そうだよ。だって、ぼくもおねぇちゃんには死んで欲しくないからね」
シュヴァルツがニコリと笑う。どこか含みのある言い方に謎の不安が頭をよぎるが……その不安の正体を、私は見つけられなかった。