だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「帝都西部大通りの王城側より見て五番目の中通りに入って、しばらく直進した後小川の橋を渡って西部地区に入った後、赤い屋根の家の前で右折して突き当たりを更に右折、道なりに進んだ後旧時計塔の前で左折した後に見える三番目の家がディオさんの家……であってますよね?」

 確かにとてもややこしい説明ではある。だがハイラさんの授業で、歴代皇帝のフルネームをその功績と没年と共に一気に覚えさせられた時に比べたら、全然屁でもないわ。……ちょっと下品かしら、この言い方は。
 えっと、ごほん。全然へっちゃらよ、これぐらい!
 これも努力の積み重ねよね。と努力の大切さを痛感していたら、ディオさんと眉間に皺のあるお兄さんの顔が驚愕に染まっていて。

「…………何で覚えてんだよ、お前」
「凄いな……貧民街に住んでる俺ですら未だに覚えられず迷うのに」

 いや住んでるなら迷っちゃ駄目でしょう、と心の中でツッコミを入れる。
 それはそうと、褒められて嬉しいので私は誇らしげに胸を張る。

「頭は良くないけど記憶力はいい方なので!」
「それ誇る事じゃねぇだろ……」

 私の発言にディオさんは苦笑いをこぼした。むっ、あんまりウケなかったわね。
 それはともかく、私は最後の目的を果たせたので、ようやく家に帰る事にした。

「それじゃあ私は家に帰りますね」
「おう、気をつけて帰れよ」

 ぶんぶんと大きく手を振ると、ディオさんはそう言って手を振って見送ってくれた。
 メイシアとリードさんの元に駆け足で戻りながら、私は一度振り返って大声で伝える。

「ちゃんと後日お伺いしますのでーっ!」

 そうディオさんに向かって伝えると、ディオさんもまた大声で返してくれた。

「そこまで言うなら期待しとくからな!」

 その返事を聞いて、私は満足した。これでもし、突然ディオさん家を尋ねても邪険に扱われる事は無いだろう。……多分。
 ディオさんの期待にも応えられるよう、色々と準備しないと。ディオさん達関連でやりたい事が幾つか出来たんだ。
 まぁ、それは多分ハイラさんに頼んだ調べものの結果を聞いてからになるだろうけど……本当、色々とやらなければならない事があるので、明日の朝から忙しくなりそうだ。
< 121 / 1,399 >

この作品をシェア

pagetop