だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「主君、どうぞ」
「ありがとうルティ。はいローズ、誕生日プレゼントの秋物のドレスです」
「もしかして、アミレスちゃんが私の為に選んでくれたの……?」
「あー……うん、そうね。選んだわ。精一杯考えて作っ──、選んだの!」
「そうなんだ……ありがとう、アミレスちゃん。大事にするね」
お付の執事からドレスの入った大きな箱を受け取り、王女殿下はそれをローズに渡した。その中身を見て、ローズはまた嬉しそうに微笑む。
……ん? あれ。王女殿下、さっきあの執事の事をルティって呼ばなかった? でもそれって、王女殿下の侍女の名前じゃ……あれ? よくよく見たら、あの怖かった侍女と凄く顔が似てるような…………。
困惑する頭で黒髪に端正な顔立ちの執事を凝視していると、王女殿下がそれに気づいたらしく「あぁ……そっか、言ってなかったわね」と小さく呟いた。
「レオ、改めて紹介するわ。こちら私の執事のルティです。ディジェル領に行った時は訳あって侍女の格好をしていたけれど、本当は執事なの」
「ご紹介にあずかりました。主君の執事をさせていただいております、ルティです」
目の前で恭しく頭を垂れる色白の美男子。なんと、彼はあの時の怖い侍女だったのだという。
その衝撃、まさに脳天を貫かれたかのよう。
「……レオナード様、そのお気持ちはよく分かります。私も先程この事を知り、愕然としましたので」
「モルス…………」
唖然とする俺の傍にやって来て、モルスがぽつりと呟く。
いや、あれは本当に分からないよ。だって完全に女性だったじゃん……。
何故か特に驚く様子を見せないローズを不思議に思いつつ、俺達は長椅子に座って、ここ数ヶ月の出来事について話をした。
王女殿下が帰られてからのディジェル領がどんな感じだったのかとか、王女殿下に質問されるがままに答えていった。
その話を、王女殿下は紅茶を飲みつつ楽しそうに聞いてくれた。その事がつい嬉しくて、たくさん話をしたのだが……王女殿下の両隣に座るイリオーデさんとルティさんの視線が時間を重ねるごとにキツくなっていくのが少し、いやかなり怖かった。
──何あの人達、怖い!!
「ああそうだ。ねぇ、ローズ。貴女って確か社交界デビューはまだだったわね?」
「うん。今までずっと領地にいたから……」
「それなら良かった。丁度いい話があるんだけど」
「いい話って?」
俺の話が一区切りついた頃、王女殿下がティーカップを置いてにこやかに語り出した。一体何の話なのかと、俺とローズは首を傾げる。
ごほんっと咳払いをして、王女殿下はまたにんまりと笑う。
「実はね、近々私の友達がパーティーを開くらしくて……貴女さえ良ければ、そこで社交界デビューといきましょうよ。私がサポートするからさ」
「しゃっ……社交界デビュー!? 私が!?」
「彼女の家なら私も安心だし、貴女もいずれデビューする必要があるのだから、どうせなら私がサポート出来る時にと思ったのだけれど」
「寧ろ、私の社交界デビューをアミレスちゃんにサポートしてもらってもいいの?!」
「良くなかったらこうして提案しないわよ。それで、どうかしら?」
「勿論っ、私の方からお願いしたいくらいですっ!」
「そう。それじゃあ一緒に行きましょうね、シャンパージュ家のパーティー」
「はい!」
まさかの願ってもない提案に、ローズは二つ返事で承諾した。王女殿下がローズの社交界デビューをサポートしてくれるなんて、俺達ってば果報者過ぎないか? と思うのも束の間、王女殿下の口からは予想外の名前が出てきた。
「ありがとうルティ。はいローズ、誕生日プレゼントの秋物のドレスです」
「もしかして、アミレスちゃんが私の為に選んでくれたの……?」
「あー……うん、そうね。選んだわ。精一杯考えて作っ──、選んだの!」
「そうなんだ……ありがとう、アミレスちゃん。大事にするね」
お付の執事からドレスの入った大きな箱を受け取り、王女殿下はそれをローズに渡した。その中身を見て、ローズはまた嬉しそうに微笑む。
……ん? あれ。王女殿下、さっきあの執事の事をルティって呼ばなかった? でもそれって、王女殿下の侍女の名前じゃ……あれ? よくよく見たら、あの怖かった侍女と凄く顔が似てるような…………。
困惑する頭で黒髪に端正な顔立ちの執事を凝視していると、王女殿下がそれに気づいたらしく「あぁ……そっか、言ってなかったわね」と小さく呟いた。
「レオ、改めて紹介するわ。こちら私の執事のルティです。ディジェル領に行った時は訳あって侍女の格好をしていたけれど、本当は執事なの」
「ご紹介にあずかりました。主君の執事をさせていただいております、ルティです」
目の前で恭しく頭を垂れる色白の美男子。なんと、彼はあの時の怖い侍女だったのだという。
その衝撃、まさに脳天を貫かれたかのよう。
「……レオナード様、そのお気持ちはよく分かります。私も先程この事を知り、愕然としましたので」
「モルス…………」
唖然とする俺の傍にやって来て、モルスがぽつりと呟く。
いや、あれは本当に分からないよ。だって完全に女性だったじゃん……。
何故か特に驚く様子を見せないローズを不思議に思いつつ、俺達は長椅子に座って、ここ数ヶ月の出来事について話をした。
王女殿下が帰られてからのディジェル領がどんな感じだったのかとか、王女殿下に質問されるがままに答えていった。
その話を、王女殿下は紅茶を飲みつつ楽しそうに聞いてくれた。その事がつい嬉しくて、たくさん話をしたのだが……王女殿下の両隣に座るイリオーデさんとルティさんの視線が時間を重ねるごとにキツくなっていくのが少し、いやかなり怖かった。
──何あの人達、怖い!!
「ああそうだ。ねぇ、ローズ。貴女って確か社交界デビューはまだだったわね?」
「うん。今までずっと領地にいたから……」
「それなら良かった。丁度いい話があるんだけど」
「いい話って?」
俺の話が一区切りついた頃、王女殿下がティーカップを置いてにこやかに語り出した。一体何の話なのかと、俺とローズは首を傾げる。
ごほんっと咳払いをして、王女殿下はまたにんまりと笑う。
「実はね、近々私の友達がパーティーを開くらしくて……貴女さえ良ければ、そこで社交界デビューといきましょうよ。私がサポートするからさ」
「しゃっ……社交界デビュー!? 私が!?」
「彼女の家なら私も安心だし、貴女もいずれデビューする必要があるのだから、どうせなら私がサポート出来る時にと思ったのだけれど」
「寧ろ、私の社交界デビューをアミレスちゃんにサポートしてもらってもいいの?!」
「良くなかったらこうして提案しないわよ。それで、どうかしら?」
「勿論っ、私の方からお願いしたいくらいですっ!」
「そう。それじゃあ一緒に行きましょうね、シャンパージュ家のパーティー」
「はい!」
まさかの願ってもない提案に、ローズは二つ返事で承諾した。王女殿下がローズの社交界デビューをサポートしてくれるなんて、俺達ってば果報者過ぎないか? と思うのも束の間、王女殿下の口からは予想外の名前が出てきた。