だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
 東宮の廊下を歩きつつ、私は考える。
 この後、私は例の雪花宮の件について答えを出さなければならないのだが……協力するのは良いとして何かいい案はないものかと。だって現時点の計画内容が既に無謀というか、気が遠くなるというか。とにかく信じられない内容だった。
 私だって、どうせ乗るなら泥舟ではなく艦隊とかに乗りたい。
 ならばこの泥舟を艦隊へと変える一案を私が考えてやろうと、フリードルから三日の猶予を奪い取ったのだ。

 だけど今のところ、あまりいい案は思いつかない。
 単純な魔力量などから考えると、シルフ達を除いてもマクベスタやシュヴァルツやナトラやクロノ、イリオーデやアルベルトもいるから結構役に立てるとは思うが……それでは根本的な解決には至らない。
 カイルがいてくれたらな、サベイランスちゃんでパパーッとなんか凄い事をしてくれたのだろうけど、生憎と私はかれこれ三ヶ月……いや、四ヶ月とか彼とは会ってない。
 マクベスタは何度か顔を合わせたそうなのだが、あいつ私には顔見せてくれないのよね。推し>同志なのかおまえは。そりゃそうか。

「……──魔導兵器(アーティファクト)

 ふと思いついたその言葉を呟くと共に、私の足はピタリと止まった。そんな私を、イリオーデとアルベルトが不思議そうに見つめる。
 カイルの持つサベイランスちゃん……あれは確か、魔導兵器(アーティファクト)の一種だとカイルが以前言っていた。
 そして魔導兵器(アーティファクト)と言えば、私も二つ程所持している。去年の誕生日にミカリアから貰った物と、今年の誕生日にリードさんから貰った物が!
 しかもだ。ミカリアから貰った魔導兵器(アーティファクト)に関しては、重力操作の能力だった筈。つまり──あれさえあれば、雪花宮の移動も容易いのではないかと。
 そう、あいきゅーいちおくの私は思いついたのだ。

「イリオーデ、ルティ! 今すぐ貴重品保管庫に行くわよ!!」
「はっ、はい!」
「畏まりました!」

 東宮(ここ)は私の城だ。だから例え私が廊下を爆走していようとも、誰一人として私を怒ったりはしない。
 それをいい事に、私はヒールのまま全力で走った。貴重品保管庫まで全力疾走し、その道中で侍女の顔を青ざめさせたり、ナトラ達を唖然とさせたり。
 とにかく走り、貴重品保管庫の鍵をその場で作って中に入る。金銀財宝や希少鉱物を使ったアクセサリー、魔導具に魔導兵器(アーティファクト)に重要書類に魔石の山などがあり、この部屋ではこれまでいただいてきた多くの貴重品を厳重に完璧に保管しているのだ。
 その為、かけられた結界も超一流のもの。シルフが張ってくれた結界なんだけど、シルフが認めた人間しか入る事が出来ないので、防犯面は完璧だ。
 もし招かれざる客がこの部屋に入ろうとすれば、たちまち恐ろしい事になる。とシルフが言っていた。
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