だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「メイシア! この度は招待してくれてありがとう」
「いえ……こちらこそ、お忙しい中招待に応じ、ここまで足を運んでくださりありがとうございます。アミレス様」
このパーティーの主催たるシャンパージュ伯爵家の人間が笑顔で応対した事により、周囲は唖然としていた。
相手が皇族である事を考えれば何ら不思議ではないのだが、何せメイシアはシャンパージュの魔女、業火の魔女、薔薇姫と呼ばれる程の棘のある少女として有名だった。
滅多に表情は変わらず、その容姿も相まって本当は人形なのではと噂される程。
そんな彼女が満面の笑みでアミレスに駆け寄り、挨拶をしている姿は……大好きな飼い主が帰宅した際の子犬のよう。
ここで、業火の魔女の噂を知る者達は愚かにもようやく気がついた。彼女が執心するたった一人の人物──それが、アミレス・ヘル・フォーロイトなのだと。
二人の様子を見ればそれしか答えが出て来ない。なので、これまでに一度でも野蛮王女と口にした覚えのある者達は、ここでハッと顔を青ざめさせていた……。
(この少女が、メイシア・シャンパージュ嬢……噂通りの容姿だ。でも、そんな事より──)
(本当にお人形のような可愛らしさだわ。この方が薔薇姫…………ん? もしかして、もしかしなくても。この感じはこの子も──)
レオナードとローズニカの心が重なる。どこか不安げな面持ちで二人はメイシアをじっと見つめ、
(彼女、王女殿下の事が好きなのでは!?)
(アミレスちゃんに恋してるよね?!)
あっという間にその懸想を見抜いてしまった。
アミレスと話すメイシアの赤い瞳には、もはやアミレス以外の人物など映っておらず。同じように誰かに恋をする者が一目見れば、メイシアがアミレスに恋焦がれている事など瞬時に察する。
それぐらい、彼女は恋心を隠そうともしていなかった。
(……うん、メイシア嬢ばかりアミレスと話していてずるいな。ここは一つ、この兄妹をけしかけてみるか)
なんともずる賢い事だ。マクベスタはちらりとテンディジェル兄妹を一瞥し、修羅場を引き起こそうと画策した。
「アミレス、そろそろ彼等の事も紹介したらどうだ?」
「ああ! 後回しにしてしまってごめんなさい二人共……!」
さらりとアミレスの肩に手を置いて、ボディータッチを試みる。それに気づいたメイシアが、今にも燃やしてきそうな鋭い目でマクベスタを睨むも、マクベスタは素知らぬ顔で無視した。
「メイシア、紹介するわね。こちら私の友達のレオナードとローズニカよ。で、こちらも私の友達のメイシア。皆仲良くしてくれたら嬉しいな」
まるで子供のようだった。幼子が自分の友達同士にも友達になって欲しいと思うあの心理で、アミレスはにこやかに他己紹介を行ったのだ。
(レオナードとローズニカという名前。そしてあの曇天のような髪色……例のテンディジェル大公家の兄妹ね。シャンパー商会としては、大きな取引をしているディジェル領とは良好な関係を維持するべきなんだけど──……)
マクベスタを睨みつけるのを一度やめて、メイシアはレオナード達へと視線を移す。
(何だか凄く、嫌な予感がするわ。商人の勘がそう言ってる。この人達とは意見が衝突してしまいそうだって)
メイシアの僅かに色の異なる瞳から光が失われる。目付きもそうだが纏う雰囲気がガラリと変わった為、レオナード達は少しばかり目を丸くした。
「いえ……こちらこそ、お忙しい中招待に応じ、ここまで足を運んでくださりありがとうございます。アミレス様」
このパーティーの主催たるシャンパージュ伯爵家の人間が笑顔で応対した事により、周囲は唖然としていた。
相手が皇族である事を考えれば何ら不思議ではないのだが、何せメイシアはシャンパージュの魔女、業火の魔女、薔薇姫と呼ばれる程の棘のある少女として有名だった。
滅多に表情は変わらず、その容姿も相まって本当は人形なのではと噂される程。
そんな彼女が満面の笑みでアミレスに駆け寄り、挨拶をしている姿は……大好きな飼い主が帰宅した際の子犬のよう。
ここで、業火の魔女の噂を知る者達は愚かにもようやく気がついた。彼女が執心するたった一人の人物──それが、アミレス・ヘル・フォーロイトなのだと。
二人の様子を見ればそれしか答えが出て来ない。なので、これまでに一度でも野蛮王女と口にした覚えのある者達は、ここでハッと顔を青ざめさせていた……。
(この少女が、メイシア・シャンパージュ嬢……噂通りの容姿だ。でも、そんな事より──)
(本当にお人形のような可愛らしさだわ。この方が薔薇姫…………ん? もしかして、もしかしなくても。この感じはこの子も──)
レオナードとローズニカの心が重なる。どこか不安げな面持ちで二人はメイシアをじっと見つめ、
(彼女、王女殿下の事が好きなのでは!?)
(アミレスちゃんに恋してるよね?!)
あっという間にその懸想を見抜いてしまった。
アミレスと話すメイシアの赤い瞳には、もはやアミレス以外の人物など映っておらず。同じように誰かに恋をする者が一目見れば、メイシアがアミレスに恋焦がれている事など瞬時に察する。
それぐらい、彼女は恋心を隠そうともしていなかった。
(……うん、メイシア嬢ばかりアミレスと話していてずるいな。ここは一つ、この兄妹をけしかけてみるか)
なんともずる賢い事だ。マクベスタはちらりとテンディジェル兄妹を一瞥し、修羅場を引き起こそうと画策した。
「アミレス、そろそろ彼等の事も紹介したらどうだ?」
「ああ! 後回しにしてしまってごめんなさい二人共……!」
さらりとアミレスの肩に手を置いて、ボディータッチを試みる。それに気づいたメイシアが、今にも燃やしてきそうな鋭い目でマクベスタを睨むも、マクベスタは素知らぬ顔で無視した。
「メイシア、紹介するわね。こちら私の友達のレオナードとローズニカよ。で、こちらも私の友達のメイシア。皆仲良くしてくれたら嬉しいな」
まるで子供のようだった。幼子が自分の友達同士にも友達になって欲しいと思うあの心理で、アミレスはにこやかに他己紹介を行ったのだ。
(レオナードとローズニカという名前。そしてあの曇天のような髪色……例のテンディジェル大公家の兄妹ね。シャンパー商会としては、大きな取引をしているディジェル領とは良好な関係を維持するべきなんだけど──……)
マクベスタを睨みつけるのを一度やめて、メイシアはレオナード達へと視線を移す。
(何だか凄く、嫌な予感がするわ。商人の勘がそう言ってる。この人達とは意見が衝突してしまいそうだって)
メイシアの僅かに色の異なる瞳から光が失われる。目付きもそうだが纏う雰囲気がガラリと変わった為、レオナード達は少しばかり目を丸くした。