だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「まぁ、なんだ。シュヴァルツ君……の帰る家も出来た事だし、早く帰ろうじゃないか。三人共」
リードさんにそう言われ、私達は改めて帰路に着く。
私は、メイシアと手を繋ぎながらリードさんの後ろを歩いていた。左手には剣を持っている為、シュヴァルツは私の左腕に手を回していた。
この両手に花状態についついニヤけてしまいそうな頬を、強い意思で律する。
街頭と月明かりだけが照らす夜の街を、四人で話しながら進む。リードさんの人柄の良さは二人にも伝わったようで、メイシアもシュヴァルツもあっという間にリードさんと話せるようになった。
……とは言え、メイシアはずっと私の背に隠れたままなのだけれど。元々メイシアは人見知りな子だったから、寧ろここまで初対面の大人相手に話せてる事が凄い事なのだ。
メイシアが頑張ってリードさんやシュヴァルツと話している姿を、私は我が子を見守るような心境で見ていた。
しかし楽しい時間とは過ぎ行くもの。気がついたら、東部地区にあるシャンパージュ伯爵邸の前まで到着していた。
目の前には黒く美しい門とそれに繋がる塀。その奥に見える大きな邸は、シャンパージュ伯爵家の長き成功を物語っている。
帝都の中でも最高峰の閑静な一等地に『妻と娘が暮らしやすいように』とこんな豪邸を構えているあたり、私が思っている以上にシャンパージュ伯爵家は凄いのだろう。
──何せシャンパージュ伯爵家の現当主は、一人娘の為に全てを捨てる事が出来るような男なのだから。
ゲームのフリードルのルートでメイシアが焼身自殺を行った後、シャンパージュ伯爵家は、皇家はともかくフリードルにだけは従わないと意思表示をしたらしいのだが……その後シャンパージュ伯爵家がどうなったのかは分からない。
ただ、現伯爵家当主であるホリミエラ・シャンパージュ伯爵が皇家に逆らう程、一人娘のメイシアを溺愛していたのは確かであって……メイシアが死んでしまえば、自動的にシャンパージュ伯爵家も破滅へと至る事になるだろう。
フリードルの手からメイシアを守りつつ、メイシアのご両親や家の事も守りたい。フリードルや皇帝のせいで不幸になってしまう人を一人でもいいから減らしていきたいのだ、私は。
……多分それが、あの二人の親族となってしまった私にしか出来ない償いだと思うから。
メイシアをこよなく愛するシャンパージュ伯爵は、きっと、メイシアが拐かされてから数日間気が気でなかっただろうし、死ぬ気で探して回っていた事だろう。
だからだろうか。メイシアがこうして伯爵邸の前に姿を見せた時、門の前にいた警備兵らしき男が開いた口が塞がらないままこちらを指さして来た。
「おっ──お嬢様ぁ!? 今まで一体どちらに……っ!」
警備兵らしき男はそう叫びながらメイシアの目の前で膝を着く。瞳を潤わせてメイシアを見上げていた。
メイシアは少し肩を飛び跳ねさせた後、私の手を更にぎゅっと強く握って、
「…………迷惑かけちゃった?」
と男に向けて言った。どうやらメイシアは警備兵らしき男と面識があるらしい。
ただ、突然大きな声を出されて驚いてしまったようだが。
リードさんにそう言われ、私達は改めて帰路に着く。
私は、メイシアと手を繋ぎながらリードさんの後ろを歩いていた。左手には剣を持っている為、シュヴァルツは私の左腕に手を回していた。
この両手に花状態についついニヤけてしまいそうな頬を、強い意思で律する。
街頭と月明かりだけが照らす夜の街を、四人で話しながら進む。リードさんの人柄の良さは二人にも伝わったようで、メイシアもシュヴァルツもあっという間にリードさんと話せるようになった。
……とは言え、メイシアはずっと私の背に隠れたままなのだけれど。元々メイシアは人見知りな子だったから、寧ろここまで初対面の大人相手に話せてる事が凄い事なのだ。
メイシアが頑張ってリードさんやシュヴァルツと話している姿を、私は我が子を見守るような心境で見ていた。
しかし楽しい時間とは過ぎ行くもの。気がついたら、東部地区にあるシャンパージュ伯爵邸の前まで到着していた。
目の前には黒く美しい門とそれに繋がる塀。その奥に見える大きな邸は、シャンパージュ伯爵家の長き成功を物語っている。
帝都の中でも最高峰の閑静な一等地に『妻と娘が暮らしやすいように』とこんな豪邸を構えているあたり、私が思っている以上にシャンパージュ伯爵家は凄いのだろう。
──何せシャンパージュ伯爵家の現当主は、一人娘の為に全てを捨てる事が出来るような男なのだから。
ゲームのフリードルのルートでメイシアが焼身自殺を行った後、シャンパージュ伯爵家は、皇家はともかくフリードルにだけは従わないと意思表示をしたらしいのだが……その後シャンパージュ伯爵家がどうなったのかは分からない。
ただ、現伯爵家当主であるホリミエラ・シャンパージュ伯爵が皇家に逆らう程、一人娘のメイシアを溺愛していたのは確かであって……メイシアが死んでしまえば、自動的にシャンパージュ伯爵家も破滅へと至る事になるだろう。
フリードルの手からメイシアを守りつつ、メイシアのご両親や家の事も守りたい。フリードルや皇帝のせいで不幸になってしまう人を一人でもいいから減らしていきたいのだ、私は。
……多分それが、あの二人の親族となってしまった私にしか出来ない償いだと思うから。
メイシアをこよなく愛するシャンパージュ伯爵は、きっと、メイシアが拐かされてから数日間気が気でなかっただろうし、死ぬ気で探して回っていた事だろう。
だからだろうか。メイシアがこうして伯爵邸の前に姿を見せた時、門の前にいた警備兵らしき男が開いた口が塞がらないままこちらを指さして来た。
「おっ──お嬢様ぁ!? 今まで一体どちらに……っ!」
警備兵らしき男はそう叫びながらメイシアの目の前で膝を着く。瞳を潤わせてメイシアを見上げていた。
メイシアは少し肩を飛び跳ねさせた後、私の手を更にぎゅっと強く握って、
「…………迷惑かけちゃった?」
と男に向けて言った。どうやらメイシアは警備兵らしき男と面識があるらしい。
ただ、突然大きな声を出されて驚いてしまったようだが。