だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「いいえ! 我々シャンパージュ家使用人一同、お嬢様がご無事に戻られる事を心より願っておりましたぁああっ!!」
ぶわっと涙を溢れさせながら男はまた叫んだ。
だが、程なくして男はその涙を拭って、
「時にお嬢様、そちらの者達は何者ですか? もしやお嬢様の行方不明に関与する……ッ!」
剣に手をかけてこちらを睨んで来た。しかし、その男の言葉にいち早くメイシアが反応する。
「違うの、この人達はわたしを奴隷商から助けてくれた人なの!」
「えっ……そう、なんですか? と言うかお嬢様、奴隷商ってどう言う事なんですか!?」
メイシアの言葉に男は驚愕を見せた。メイシアによる説明が男に行われようとしたその時。邸から誰かが出てきて。
「こんな夜中に何を騒いでいるのです、ラル」
「執事長! それがっ、お嬢様がお戻りに!」
「何ぃ?! お嬢様、本当にお嬢様なのですね……!」
執事長と呼ばれた執事服を身に纏うおじさんは、メイシアの姿を見るなりこれまた涙を浮かべて……。
「……うん、心配かけてごめんね。じぃじ」
「本当に……ご無事で良かった……っ! とにかく屋敷にお入りくださいませ、私は旦那様を呼んで参ります故……おや、そちらの方々は?」
執事さんからも同じような質問を受けたメイシアは、先程より端的にそれに答えた。
「わたしの恩人だよ」
「お嬢様の恩人……!!」
執事さんの熱い視線がこちらに向けられる。執事さんは深く一礼して、
「お嬢様の事、本当にありがとうございます……! お嬢様も皆様もどうぞお上がりください、何かおもてなしをば……」
と促して来た。こんな夜分遅くにお邪魔してもいいのかと不安になったが、メイシアも執事さんも是非にと言うので、ここは一旦お邪魔する事にした。
メイシアに手を引かれ、私はシャンパージュ伯爵家に足を踏み入れる。
突然行方不明となったメイシアが数日振りに家に帰った事により、眠っていたらしい使用人の方々の全てが飛び起きて、涙と共にメイシアを出迎えていた。
そして使用人の方々に負けず劣らず酷く心配した顔で姿を見せたのが……ホリミエラ・シャンパージュ伯爵だった。
彼はメイシアの姿を見るなり、涙を流しながら彼女を抱き締めた。何度も何度も「本当に良かった」と声を絞り出すその姿から、メイシアの事を溺愛しているのは本当なのだなと実感した。
「申し遅れました、私はシャンパージュ家当主のホリミエラ・シャンパージュです。この度は行方不明となっていたメイシアを見つけて下さり感謝申し上げます……!」
しばらく熱い抱擁を交わしていた親子だったが、途中で私達に気づいた伯爵が礼儀正しくお辞儀をして来たので、
「お力になれたようで何よりです」
と微笑みつつ、濡れたり焦げたり返り血が付いたりしているボロボロのスカートを少し摘み、こちらもお辞儀する。
そして伯爵は私達に礼がしたいと、名を聞いて来た。
……ここで私は逡巡する。このまま名を隠し通すべきか、それとももうバレるだろうからいっその事明かしてしまうか。
これからもメイシアと仲良くする為には多分名を明かす必要があるだろうし、それにこの後どうせリードさんに家まで送って貰うんだ、ならもう明かした方が早いだろう。
「……僕はリードと言う者です」
「ぼくはシュヴァルツだよ!」
リードさんとシュヴァルツが名乗り、伯爵を初めとした周りの人達の注目が私へと集まった。
私は小声で、「魔法を解いて」と呟く。するとシルフがそれを聞き届けてくれたようで、私の髪の毛は徐々に元の銀色へと戻って行った。突然私の色が変化した事に、誰もが目を見開く。
そして私は、改めてお辞儀をして、
「──私の名前はアミレス・ヘル・フォーロイトです……今までずっと隠してて、ごめんなさい」
罪悪感に蝕まれつつも、何とか、笑ってみせた。
ぶわっと涙を溢れさせながら男はまた叫んだ。
だが、程なくして男はその涙を拭って、
「時にお嬢様、そちらの者達は何者ですか? もしやお嬢様の行方不明に関与する……ッ!」
剣に手をかけてこちらを睨んで来た。しかし、その男の言葉にいち早くメイシアが反応する。
「違うの、この人達はわたしを奴隷商から助けてくれた人なの!」
「えっ……そう、なんですか? と言うかお嬢様、奴隷商ってどう言う事なんですか!?」
メイシアの言葉に男は驚愕を見せた。メイシアによる説明が男に行われようとしたその時。邸から誰かが出てきて。
「こんな夜中に何を騒いでいるのです、ラル」
「執事長! それがっ、お嬢様がお戻りに!」
「何ぃ?! お嬢様、本当にお嬢様なのですね……!」
執事長と呼ばれた執事服を身に纏うおじさんは、メイシアの姿を見るなりこれまた涙を浮かべて……。
「……うん、心配かけてごめんね。じぃじ」
「本当に……ご無事で良かった……っ! とにかく屋敷にお入りくださいませ、私は旦那様を呼んで参ります故……おや、そちらの方々は?」
執事さんからも同じような質問を受けたメイシアは、先程より端的にそれに答えた。
「わたしの恩人だよ」
「お嬢様の恩人……!!」
執事さんの熱い視線がこちらに向けられる。執事さんは深く一礼して、
「お嬢様の事、本当にありがとうございます……! お嬢様も皆様もどうぞお上がりください、何かおもてなしをば……」
と促して来た。こんな夜分遅くにお邪魔してもいいのかと不安になったが、メイシアも執事さんも是非にと言うので、ここは一旦お邪魔する事にした。
メイシアに手を引かれ、私はシャンパージュ伯爵家に足を踏み入れる。
突然行方不明となったメイシアが数日振りに家に帰った事により、眠っていたらしい使用人の方々の全てが飛び起きて、涙と共にメイシアを出迎えていた。
そして使用人の方々に負けず劣らず酷く心配した顔で姿を見せたのが……ホリミエラ・シャンパージュ伯爵だった。
彼はメイシアの姿を見るなり、涙を流しながら彼女を抱き締めた。何度も何度も「本当に良かった」と声を絞り出すその姿から、メイシアの事を溺愛しているのは本当なのだなと実感した。
「申し遅れました、私はシャンパージュ家当主のホリミエラ・シャンパージュです。この度は行方不明となっていたメイシアを見つけて下さり感謝申し上げます……!」
しばらく熱い抱擁を交わしていた親子だったが、途中で私達に気づいた伯爵が礼儀正しくお辞儀をして来たので、
「お力になれたようで何よりです」
と微笑みつつ、濡れたり焦げたり返り血が付いたりしているボロボロのスカートを少し摘み、こちらもお辞儀する。
そして伯爵は私達に礼がしたいと、名を聞いて来た。
……ここで私は逡巡する。このまま名を隠し通すべきか、それとももうバレるだろうからいっその事明かしてしまうか。
これからもメイシアと仲良くする為には多分名を明かす必要があるだろうし、それにこの後どうせリードさんに家まで送って貰うんだ、ならもう明かした方が早いだろう。
「……僕はリードと言う者です」
「ぼくはシュヴァルツだよ!」
リードさんとシュヴァルツが名乗り、伯爵を初めとした周りの人達の注目が私へと集まった。
私は小声で、「魔法を解いて」と呟く。するとシルフがそれを聞き届けてくれたようで、私の髪の毛は徐々に元の銀色へと戻って行った。突然私の色が変化した事に、誰もが目を見開く。
そして私は、改めてお辞儀をして、
「──私の名前はアミレス・ヘル・フォーロイトです……今までずっと隠してて、ごめんなさい」
罪悪感に蝕まれつつも、何とか、笑ってみせた。