だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
『……別に、謝罪と反省など求めておりませんよ。なので、その代わりにどうか学習してくださいませ。ほんの少しの発言や行動だけで取り返しのつかない事になると』
それだけ言い放ち、私はメイシアと共に帰路についた。
あのパーティーにいた子供達と親達の顔と名前は全て把握している。なので私は、メイシアを傷つけた子供達の家をじっくり、時間をかけて潰した。
実に簡単だった。彼等彼女等が生業としている商業よりもより優れたものをこちらで用意し、酷い経営不振に陥ってからより安く、あちらに一生働けば何とか返せる程の借金を残して買収した。
これであちらは多額の借金を負ったまま収入源を失い、貴族としての納税も出来なくなり呆気なく没落。その爵位は返上された。
これを幾つもの家相手に同時に行った事もあり、我が家は更に恐れられる事となったらしい。シャンパージュ伯爵家の機嫌を損なえば、どんな爵位の家であろうとも潰されてしまうと。
私は噂など信じてなければどうでも良かったのだが……これのおかげでメイシアに牙を剥く輩が減るかもしれないと思い、積極的に敵対する者達を丁寧に没落させていった。
これも全てメイシアの為だ。いつか必ずネラを助ける為だ。そう考えると、私はいくらでも極悪非道になれた。
私は様々な家とその商売を潰して来たが、その度にそれに変わる更に良い商売を作り出していた為、世間……特に一般市民からは何故か感謝されていた。
これだけシャンパー商会が人々に恐れられ愛されているのなら、いつかメイシアがこの家を継ぐと言い出しても大丈夫だろう、と私は安堵していた。
九歳になった頃から、メイシアは私の執務室で共に取引を見聞するようになった。
その頃にはメイシアもとても落ち着いていて、私も持たない新たな視点から切り込む為、私も学ぶ所があると思いつつ、メイシアの意見も参考にする事が多くなった。
メイシアはいつも言っていた……『屋敷の皆と、おとうさんとおかあさんがいればいい』と。メイシアがそう言うのならと私ももう無理に友達を作れとは言わなくなった。
……だけど、本当は、心のどこかでメイシアが心を許せるような友達が出来るようにと願っていたのかもしれない。
メイシアを受け入れ、メイシアを明るく広い世界に引っ張っていってくれるような、そんな友達が出来ればいい……そう、願っていたのかもしれない。
……まさか、その願いが叶う日がこんなにも早く来るなんて思いもしなかった。
発端はある日、私が数名の侍従と共にオセロマイト王国にとある取引の確認をしに行っていた時の事だった。
ようやく仕事を終え、夜中に帝都の屋敷に戻ると…屋敷全体が騒然としていた。慌てる侍従達が口にした言葉で、私は荷物を地面に落としてしまった。
──メイシアが、行方不明になった。いつの間にか屋敷から姿を消していたメイシアが、まだ見つからないのだと。
呼吸が荒くなり、鼓動が早くなる。最悪の展開に酷く狼狽し、私はまともな判断が出来なくなりそうだった。
『旦那様! 旦那様が落ち着き指揮を取らねば、一体誰がお嬢様を見つけると言うのですか!』
その時オルロットにそう諭され、私は何とか頭を落ち着かせて命令を下した。
『屋敷の者全てに告ぐ。屋敷の事など放っておけ、明朝よりメイシアの捜索に全ての人手を費やす! オルロット、街の警備隊に人手を寄越せと要請を出せ。いくらでも脅してもいいし金を積んでも構わない!』
『はっ!』
侍従達が慌ただしく動き出す。その際に一人の侍女が恐る恐る声をかけてきた。
それだけ言い放ち、私はメイシアと共に帰路についた。
あのパーティーにいた子供達と親達の顔と名前は全て把握している。なので私は、メイシアを傷つけた子供達の家をじっくり、時間をかけて潰した。
実に簡単だった。彼等彼女等が生業としている商業よりもより優れたものをこちらで用意し、酷い経営不振に陥ってからより安く、あちらに一生働けば何とか返せる程の借金を残して買収した。
これであちらは多額の借金を負ったまま収入源を失い、貴族としての納税も出来なくなり呆気なく没落。その爵位は返上された。
これを幾つもの家相手に同時に行った事もあり、我が家は更に恐れられる事となったらしい。シャンパージュ伯爵家の機嫌を損なえば、どんな爵位の家であろうとも潰されてしまうと。
私は噂など信じてなければどうでも良かったのだが……これのおかげでメイシアに牙を剥く輩が減るかもしれないと思い、積極的に敵対する者達を丁寧に没落させていった。
これも全てメイシアの為だ。いつか必ずネラを助ける為だ。そう考えると、私はいくらでも極悪非道になれた。
私は様々な家とその商売を潰して来たが、その度にそれに変わる更に良い商売を作り出していた為、世間……特に一般市民からは何故か感謝されていた。
これだけシャンパー商会が人々に恐れられ愛されているのなら、いつかメイシアがこの家を継ぐと言い出しても大丈夫だろう、と私は安堵していた。
九歳になった頃から、メイシアは私の執務室で共に取引を見聞するようになった。
その頃にはメイシアもとても落ち着いていて、私も持たない新たな視点から切り込む為、私も学ぶ所があると思いつつ、メイシアの意見も参考にする事が多くなった。
メイシアはいつも言っていた……『屋敷の皆と、おとうさんとおかあさんがいればいい』と。メイシアがそう言うのならと私ももう無理に友達を作れとは言わなくなった。
……だけど、本当は、心のどこかでメイシアが心を許せるような友達が出来るようにと願っていたのかもしれない。
メイシアを受け入れ、メイシアを明るく広い世界に引っ張っていってくれるような、そんな友達が出来ればいい……そう、願っていたのかもしれない。
……まさか、その願いが叶う日がこんなにも早く来るなんて思いもしなかった。
発端はある日、私が数名の侍従と共にオセロマイト王国にとある取引の確認をしに行っていた時の事だった。
ようやく仕事を終え、夜中に帝都の屋敷に戻ると…屋敷全体が騒然としていた。慌てる侍従達が口にした言葉で、私は荷物を地面に落としてしまった。
──メイシアが、行方不明になった。いつの間にか屋敷から姿を消していたメイシアが、まだ見つからないのだと。
呼吸が荒くなり、鼓動が早くなる。最悪の展開に酷く狼狽し、私はまともな判断が出来なくなりそうだった。
『旦那様! 旦那様が落ち着き指揮を取らねば、一体誰がお嬢様を見つけると言うのですか!』
その時オルロットにそう諭され、私は何とか頭を落ち着かせて命令を下した。
『屋敷の者全てに告ぐ。屋敷の事など放っておけ、明朝よりメイシアの捜索に全ての人手を費やす! オルロット、街の警備隊に人手を寄越せと要請を出せ。いくらでも脅してもいいし金を積んでも構わない!』
『はっ!』
侍従達が慌ただしく動き出す。その際に一人の侍女が恐る恐る声をかけてきた。