だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
 もう説教の事は良いだろう。私も反省したし、これから何かしでかす時はちゃんと一番にハイラさんにも相談し協力してもらうという事で手は打ってもらった。
 ……いや何でこれでハイラさんが納得してくれたのかよく分からないけども。
 それはともかくだ。説教の後、ハイラさんから調査の報告を聞いた私はいくつかの案を講じた。
 ハイラさんに頼んだ調べ物というのは、ずばり帝都と帝都郊外の町村にある教会や孤児院の事だ。
 奴隷商に捕われる子供達の中にはもしかしたら親に売られてしまった子もいるのかもしれない。そういうの本で読んだ事あるし。
 なので、そう言った子供達の為にどこかの施設が子供達を受け入れてくれたらなと、現在の定員数や巷の評判等色々と調べて貰ったのだが……ハイラさんが優秀過ぎるのか、たったの一晩でその報告が上がったのだ。
 それも、何故か奴隷商がこれまで行って来た数々の悪事等……私が昨夜潰した組織に関わる情報も一緒に。もしかしたら、察しの良すぎるハイラさんがついでにこちらも調べておいてくれたのかもしれない。
 そういえば、私が奴隷商を潰しに行ったと話した時、ハイラさんの表情が驚きと納得に変わっていた気がするし。

 さて、そのハイラさんの報告はと言うと……現時点だと、どの教会も孤児院も定員がいっぱいいっぱいとの事。
 貧民街の住人も徐々に増えつつあり、それと同時に孤児も増加しているらしい。
 なので、これ以上子供を受け入れるのは難しそうだとか。地方の領地の教会や孤児院であればまだ定員は空いているかもしれないが、子供達の体力面を考慮したならば、馬車での長距離移動は無理だろうと言う結論に。
 うーん、困った。どうしようか。
 ベッドから起き上がり、私は長椅子に腰掛けてハイラさんが持って来た資料と睨めっこする。しかし特にいい案は思いつかなかった。
 しかしその時、同じ様に資料を眺めていたシュヴァルツが数枚手に取って見せてきた。

「ねーねーおねぇちゃん、こっちの資料はなんなのー?」
「ん……貧民街の土地とか空き家の情報ね。やっぱり、古い建物が多いのね……廃棄物処理もままならないから、ゴミが集まる掃き溜めみたいな場所もあるみたい」

 それを受け取り内容に目を落とすと、そこには貧民街の情報が事細かに記されていた。
 貧民街の中でも更に格差があるようで、まだ比較的に綺麗な区域と誰も近寄りたがらないような区域があるらしい。例の掃き溜めはその中心辺りにあるようだ。
 この不衛生な掃き溜めの影響で貧民街ではよく病が流行り、その度に多くの人が命を落とし……最悪な事に、そのご遺体はその場に放置されるか掃き溜めに棄てられるかのどちらからしい。
 本当に酷い話だ……と思うのは私が元日本人かつ皇族だからだろうか。本当に自分勝手な感想だと思う。
 ……そう言えば、シュヴァルツは表向きにハイラさん紹介の私の内弟子と言う事になった。子供の私に内弟子がいるのも結構おかしな話ではある。
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