だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「……ねぇ、シルフ。どんなに不衛生な掃き溜めでも掃除すれば人が住めるようになるかな」

 膝の上で丸まっていた猫シルフにそう尋ねる。
 シルフはツンとしながらも答えてくれた。

「ただ掃除するだけじゃあ駄目だと思うよ。掃除した上で浄化とかしないと、その土地にこびりついた穢れは取れないからね」
「浄化…………」

 浄化と言えば光の魔力の専売特許。私には到底無理な話だ。
 どうせなら今度ディオさん達を尋ねる時に掃き溜めを掃除して子供達が住めそうな集合住宅でも建ててやろうかと思っ……て……。

「そうだ! 私が孤児院を作ればいいんだ!」

 どこの孤児院も定員オーバーなら、新しく孤児院を作ってしまえばいい。
 そうすればきっと子供達の件は片付くだろう。後は土地の事だが……私達には心強い味方がいるじゃないか。お人好しかつ希少な光の魔力を持つお兄さんが!
 何度迷惑をかければ気が済むんだと言われてしまいそうだが、土地の浄化はリードさんに土下座してでも頼もう。
 後は孤児院建設の費用と人材と材料か…………あ、いい事思いついちゃった。

「確かまだ私にあてられた予算ってかなり残ってたよね……最低でも氷金貨二千枚ぐらいは残ってた筈。あれは私の財産みたいな物だし、どう使おうが私の勝手よね、うん」

 全ての費用は私が請け負おう。ずっと皇宮の中にいるから特に欲しい物も無く、必要最低限にしか予算を使わない六年間だったので……国から私個人にあてられた予算(おこづかい)は相当貯蓄されている。
 ならばここで一気に解き放ってやろうじゃないか!
 貧民街を放置し続ける無情の皇帝に代わって、私が少しでも貧民街をより良くしよう。
 そうなったら、今度は彼等が安定して給金を得られる職業等も用意しなければならないな。
 ああっ、やる事が多い! だけど特訓ばかりの日々には少し退屈していた所なんだ。丁度良いじゃない。
 偽善者による慈善事業《ボランティア》といこうじゃないか!!

「……アミィ、また変な事企んでない……?」
「おねぇちゃんなんか楽しそう〜、ぼくも混ぜて!」

 私の様子に怪しんだり好奇心を躍らせたりする二人に、まずは一通りの説明をする事にした。
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