だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
35.いい事を思いつきました。2
城へと続く道を静かに歩きながら、私は思いました。
いずれ姫様が行動を起こされるのであろうと予想はしておりましたよ。ですが、まさか、昨日だとは。
いつか行動を起こされるその時に備えて情報を集め、他にも何かお手伝い出来ればと一晩中様々な準備に走ったと言うのに。
姫様を起こしにお部屋に伺えば、テーブルの上に見覚えの無い帳簿と何者かの血が付着した姫様の愛剣が置かれていました。
その帳簿を見るとあら不思議、人身売買や奴隷取引の確たる証拠だったのです。何故それが姫様のお部屋に……? と思った時、隣の部屋から物音がしました。
もしや侵入者が、と警戒した私は、常に服の中に仕込んでいる暗器を幾つか手に取り構えました。
そしてそのまま扉を開くと……そこには見覚えの無い少年がいました。
気持ちよさそうに寝息を立てる侵入者と思しき少年を、私はとりあえず縛り上げた。捕らえておいた方が良いかと思ったのです。
先程の帳簿と言いこの少年と言い、何故だか妙に胸騒ぎがします。
……そこで私の脳裏を、数刻前のカラスによる報告が過ぎったのです。
何でも、人身売買が行われていたと予測される建物で騒ぎが起きていたとか。カラスのうちの一人が人身売買の拠点の捜索をしていた際に、目星をつけていた建物から大勢の子供が逃げ出していたらしいのです。
何者かによって捕らわれていた子供達が解放されたのでは、とカラスは話していました。
捕らわれていた子供達の脱走と姫様の部屋にあったあの帳簿……どう考えても無関係とは思えませんでした。
そうやって一人で考えを巡らせていると、シルフ様が身軽に姫様のベッドから飛び降りて、
『……ハイラ、君に話しておきたい事があるんだ』
と、この一晩で起きた出来事を粗方話して下さった。
それを聞いた私は額に手を当て、とても大きなため息を吐きました。…………まさか本当に姫様が本日行動を起こされていたのかと。
それも昼間から私に内緒で皇宮を抜け出し、街に出ていたですって? その際に暴漢に襲われかけた上、見知らぬ男と親しくなった?
夜中の作戦中とやらに至っては御身自らが人身売買の拠点に商品として乗り込み、大人達相手に取引を持ちかけたり、互角の戦いを演じてみせたと? 努力家の姫様なのですからそれは当然ですが……それはそれとして。
どうしてそのような危険な真似をなされているのですか!? 無茶にも程がありますよ! と、私は一度ベッドで眠る姫様に慌てて駆け寄り、布団を退かして見える範囲だけでもと姫様の御体に傷がないかと確認をしました。
傷は全く無く、私が胸を撫で下ろしたのも束の間。シルフ様がこう仰ったのです。
いずれ姫様が行動を起こされるのであろうと予想はしておりましたよ。ですが、まさか、昨日だとは。
いつか行動を起こされるその時に備えて情報を集め、他にも何かお手伝い出来ればと一晩中様々な準備に走ったと言うのに。
姫様を起こしにお部屋に伺えば、テーブルの上に見覚えの無い帳簿と何者かの血が付着した姫様の愛剣が置かれていました。
その帳簿を見るとあら不思議、人身売買や奴隷取引の確たる証拠だったのです。何故それが姫様のお部屋に……? と思った時、隣の部屋から物音がしました。
もしや侵入者が、と警戒した私は、常に服の中に仕込んでいる暗器を幾つか手に取り構えました。
そしてそのまま扉を開くと……そこには見覚えの無い少年がいました。
気持ちよさそうに寝息を立てる侵入者と思しき少年を、私はとりあえず縛り上げた。捕らえておいた方が良いかと思ったのです。
先程の帳簿と言いこの少年と言い、何故だか妙に胸騒ぎがします。
……そこで私の脳裏を、数刻前のカラスによる報告が過ぎったのです。
何でも、人身売買が行われていたと予測される建物で騒ぎが起きていたとか。カラスのうちの一人が人身売買の拠点の捜索をしていた際に、目星をつけていた建物から大勢の子供が逃げ出していたらしいのです。
何者かによって捕らわれていた子供達が解放されたのでは、とカラスは話していました。
捕らわれていた子供達の脱走と姫様の部屋にあったあの帳簿……どう考えても無関係とは思えませんでした。
そうやって一人で考えを巡らせていると、シルフ様が身軽に姫様のベッドから飛び降りて、
『……ハイラ、君に話しておきたい事があるんだ』
と、この一晩で起きた出来事を粗方話して下さった。
それを聞いた私は額に手を当て、とても大きなため息を吐きました。…………まさか本当に姫様が本日行動を起こされていたのかと。
それも昼間から私に内緒で皇宮を抜け出し、街に出ていたですって? その際に暴漢に襲われかけた上、見知らぬ男と親しくなった?
夜中の作戦中とやらに至っては御身自らが人身売買の拠点に商品として乗り込み、大人達相手に取引を持ちかけたり、互角の戦いを演じてみせたと? 努力家の姫様なのですからそれは当然ですが……それはそれとして。
どうしてそのような危険な真似をなされているのですか!? 無茶にも程がありますよ! と、私は一度ベッドで眠る姫様に慌てて駆け寄り、布団を退かして見える範囲だけでもと姫様の御体に傷がないかと確認をしました。
傷は全く無く、私が胸を撫で下ろしたのも束の間。シルフ様がこう仰ったのです。