だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
あぁそうそう。実はマクベスタにも奴隷商の件は全て話した。一人で潜入した事を話した時、マクベスタの顔が酷く強ばっていたのは記憶に新しい。
……奴隷商の事は話したけれど、誕生日プレゼントの事は話してないのよね。当日までのお楽しみと言うか。
シャンパージュ伯爵邸に行くにあたって、とりあえず暇してそうなマクベスタも引っ張ってきたのだけど……あの二人ってここで邂逅させてもいいのかしら。ゲームだと初めて会うのはもっと後だからなぁ。
いやもうゲームとか無視していいか。既に私が散々無視してるんだし。原作改編やってやろうじゃんって感じなんだし。
と言うか、今色々とやった所で、多分そこまでゲーム本編に影響も無いでしょう。
今はあくまでもゲーム本編の土台作りの時間でしかないし、多少土台が変わっても本編はそんなに変わらないでしょ。
うん、そうだと思いたい。
「姫様。シャンパージュ伯爵邸にそろそろ到着致します」
手綱を握るハイラさんの声が聞こえてくる。
シャンパージュ伯爵邸は王城からそう遠くない一等地にある。
すぐ着くだろうとは思っていたけど、まさかものの数分で着いてしまうとは……。
そんな事を考えていると馬車が止まり、外からハイラさんが扉を開けて手を差し伸べ来る。その手を取ってゆっくりと馬車を降りると……数日振りのシャンパージュ伯爵邸が目の前に見えた。
馬車を降りた途端、見覚えのある執事さんが駆け寄って来て、
「お待ちしておりました、王女殿下……!」
深々と頭を垂れた。意外と大きな声で私を呼んだ執事さんに、私は慌てて口元に指を当て、
「あの、この通り素性を隠しているので……どうか内密に」
とお願いした。執事さんはハッとした後冷や汗を流しながら「申し訳ございません……!!」と繰り返し頭を下げてきた。
幸いにも周りに人はおらず事なきを得たので、私はこの事は不問とした。
そして、執事さん案内の元、シャンパージュ伯爵邸にお邪魔する。猫シルフを抱き、ハイラさんとマクベスタとシュヴァルツと共に執事さんの後ろを歩く。
既に来た事がある私とシュヴァルツは特に緊張も無かったが、完全に巻き込まれただけのマクベスタはかなり緊張しているようだった。
それが少し意外で、私はその理由をマクベスタに尋ねてみる事にした。
「何でそんなに緊張してるの、マクベスタ」
「……ここはあのシャンパー商会を運営する伯爵家の屋敷なんだろう。オセロマイトの王子として、粗相を働く訳にはいかず……」
「そう言えばオセロマイト王国との取引の大部分を担ってるのってシャンパー商会かぁ、そりゃあ緊張もするわね」
「まぁ、そう言う事だ……」
フォーロイト帝国の市場を支配していると言っても過言では無いシャンパージュ伯爵家は、その優秀さから数代前よりオセロマイト王国との取引を一手に引き受けているらしい。
オセロマイト王国側からすれば、シャンパー商会の存在は強大なのだろう。そんなの緊張して当然だ。
何せ、もし自分が何かやらかしてしまった時には商会の怒りを買う恐れがあるのだから。
私だって同じ立場なら間違いなく恐怖に縮こまる自信がある。
そして、応接室に通された私達は長椅子に腰かけて出された紅茶を味わっていた。今まで飲んだ事の無い風味の紅茶にぱちぱちと瞬きしていると、隣に座るマクベスタが感嘆の声を漏らした。
……奴隷商の事は話したけれど、誕生日プレゼントの事は話してないのよね。当日までのお楽しみと言うか。
シャンパージュ伯爵邸に行くにあたって、とりあえず暇してそうなマクベスタも引っ張ってきたのだけど……あの二人ってここで邂逅させてもいいのかしら。ゲームだと初めて会うのはもっと後だからなぁ。
いやもうゲームとか無視していいか。既に私が散々無視してるんだし。原作改編やってやろうじゃんって感じなんだし。
と言うか、今色々とやった所で、多分そこまでゲーム本編に影響も無いでしょう。
今はあくまでもゲーム本編の土台作りの時間でしかないし、多少土台が変わっても本編はそんなに変わらないでしょ。
うん、そうだと思いたい。
「姫様。シャンパージュ伯爵邸にそろそろ到着致します」
手綱を握るハイラさんの声が聞こえてくる。
シャンパージュ伯爵邸は王城からそう遠くない一等地にある。
すぐ着くだろうとは思っていたけど、まさかものの数分で着いてしまうとは……。
そんな事を考えていると馬車が止まり、外からハイラさんが扉を開けて手を差し伸べ来る。その手を取ってゆっくりと馬車を降りると……数日振りのシャンパージュ伯爵邸が目の前に見えた。
馬車を降りた途端、見覚えのある執事さんが駆け寄って来て、
「お待ちしておりました、王女殿下……!」
深々と頭を垂れた。意外と大きな声で私を呼んだ執事さんに、私は慌てて口元に指を当て、
「あの、この通り素性を隠しているので……どうか内密に」
とお願いした。執事さんはハッとした後冷や汗を流しながら「申し訳ございません……!!」と繰り返し頭を下げてきた。
幸いにも周りに人はおらず事なきを得たので、私はこの事は不問とした。
そして、執事さん案内の元、シャンパージュ伯爵邸にお邪魔する。猫シルフを抱き、ハイラさんとマクベスタとシュヴァルツと共に執事さんの後ろを歩く。
既に来た事がある私とシュヴァルツは特に緊張も無かったが、完全に巻き込まれただけのマクベスタはかなり緊張しているようだった。
それが少し意外で、私はその理由をマクベスタに尋ねてみる事にした。
「何でそんなに緊張してるの、マクベスタ」
「……ここはあのシャンパー商会を運営する伯爵家の屋敷なんだろう。オセロマイトの王子として、粗相を働く訳にはいかず……」
「そう言えばオセロマイト王国との取引の大部分を担ってるのってシャンパー商会かぁ、そりゃあ緊張もするわね」
「まぁ、そう言う事だ……」
フォーロイト帝国の市場を支配していると言っても過言では無いシャンパージュ伯爵家は、その優秀さから数代前よりオセロマイト王国との取引を一手に引き受けているらしい。
オセロマイト王国側からすれば、シャンパー商会の存在は強大なのだろう。そんなの緊張して当然だ。
何せ、もし自分が何かやらかしてしまった時には商会の怒りを買う恐れがあるのだから。
私だって同じ立場なら間違いなく恐怖に縮こまる自信がある。
そして、応接室に通された私達は長椅子に腰かけて出された紅茶を味わっていた。今まで飲んだ事の無い風味の紅茶にぱちぱちと瞬きしていると、隣に座るマクベスタが感嘆の声を漏らした。