だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「こう言っては失礼だが、貧民街の人達が土木作業に耐えられるだけの体力があるとは思えないんだが……食事も満足に取れないと聞くからな……」

 あっ。そう言えばディオさん達も貧民街の子供にいいご飯を食べさせてあげたくて金稼ぎしてるって言ってたな。
 …………やっぱり食料問題って大変なんだな、やっべ、なんにも考えてなかったわ。
 途端に顔に背中に冷や汗が流れ出す。ここまで自慢げに言っておいてこんな初歩的な所を考えてなかったとか恥ずかしすぎる、どうしよう。
 そうやって頭の中をぐるぐるとさせていると、

「マクベスタ王子殿下、それは愚問と言うものです。アミレス様がそのような初歩的な問題を見落とす筈が無いでしょう!」

 メイシアが私の腕にぎゅっと抱きついて、ぷんぷんと怒りながら言った。
 ごめんよぉメイシア。残念ながら私はその初歩的な問題を見落としていたんだ。ああもう、穴があったら入りたい!

「それもそうだな」
「アミレス様の事ですから、貧民街の人達の為に、きっと炊き出しと言った食事の無償提供をしばし行うと計画されていらっしゃるのでしょう。ですよねっ、アミレス様!」

 メイシアのキラキラした瞳と視線が私を貫く。メイシアってば本当に頭良いわね! そんな事思いつきもしなかったわよ私。
 メイシアの言葉を受けてマクベスタは、まさかそこまで……! と言いたげにハッとした顔となった。
 更に、シュヴァルツもまた「すごーい! おねぇちゃんすごーい!」とぴょんぴょん飛び跳ねながら騒ぎ出してしまったので、私はいよいよ打つ手がほとんど無くなってしまったのだ。
 なので、私は、

「…………まぁ、その予定ではあるかな」

 とメイシアの案を横取りしてしまった。本当にごめんなさいメイシアわざとでは無いのよだって今はこうするしか道が──。

「流石ですアミレス様! その時は是非、シャンパー商会にもお手伝いさせてくださいっ!」
「やはりアミレスは凄いな……オレにはそのように考える事も行動する事も出来ない」
「おねぇちゃんすごぉーい!」

 三人からしばらくそうやって賞賛され続け、ついに良心が崩壊しかけるその時まで……私は良心の呵責に苛まれた。
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