だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「本当に、わたし達を助けてくれるの?」

 ほんの少し前まで、もう何にも期待しないと決めていたのに。
 これで最後にするから。最後にもう一度だけ……わたしに、希望をください。
 不安に思いながらも女の子を見上げていると、彼女は「任せなさい!」と自信満々に胸を叩きながら、

「その為にここまで来たから。安心して、私、こう見えて結構強いんだから」

 とかっこよく笑っていた。……この子は、化け物のわたしにも笑いかけてくれた。怖がったりするんじゃあなくて、ただただ笑いかけて、普通の女の子のように接してくれた。
 泣いてしまいそうになった。初めて、身内じゃない誰かに手を差し伸べて貰えたような気がしたから。初めて、化け物でも魔女でもなくただのメイシアとして接して貰えたような気がしたから。
 きっと勘違いなのだろうけど、わたしはこの勘違いを正したくなかった。このまま、夢を見ていたかった。
 ……だからだろうか、わたしはそれに、静かに頷き返す事しか出来なかった。
 そして、ナナラちゃんとユリエアちゃんがさっき怒鳴った事を彼女……スミレちゃんに謝ったりした後、あの男の子がスミレちゃんに質問を投げかけたのだ。

「それで、結局、どうやって皆を助けるのー?」

 確かにそれはわたし達も気になっていた事だった。自信に溢れたスミレちゃんの事だから、きっとそれが可能なだけの算段があるんだろう。
 そう思い、わたし達は期待に満ちた目でスミレちゃんを見ていた。

「えっと……とりあえず全ての檻を壊して、皆を逃がして……悪い大人を倒して、警備隊に突き出す?」

 とても単純明快。しかしそうでありながら実行に移すのは困難であろうその作戦を、スミレちゃんは一人で実行しに来たらしい。
 その手には業物の剣が握られていて、それはスミレちゃんの『結構強いんだから』と言う発言を裏づけしているようだった。
 ……きっと、スミレちゃんは本当にただ一人で全てを成し遂げるつもりでここまで来たのだろう。なんて勇気なんだろうか。
 わたしにはない勇気。とても羨ましくて、とてもかっこよくて、まるで物語の勇者のようで憧れてしまった。
 わたしとほとんど歳も変わらなそうな女の子が見ず知らずの人の為に危険を冒すなんて……本当に凄い事だと思った。
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