だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「メイシアちゃん、あの、何歳かな? 君歳上とかっていけるタイプ? あっ理想のタイプとかがあれば是非教えて貰えたらうれッ」
「やめろこの阿呆が!! ガキ相手に何やってやがる!」
「ぐふぉっ!?」

 眼帯の人が男の人を思い切り蹴飛ばしてくれたお陰で、わたしは目先の恐怖から逃れる事が出来た。

「くそ、あの野郎……いつかやるとは思ってたが本当にガキ相手に……」
「──ディオさん、ちょっと下ろして貰えませんか。後、あの人ぶん殴ってもいいですか。私の可愛い友達に言い寄りやがって」
「…………せめて、お前の怪我が治ってからにしてくれ」

 眼帯の人とスミレちゃんの会話が聞こえてくる。
 確かに怖かったけれど、スミレちゃんが『私の可愛い友達』と言ってくれたからもう全然平気……なんて言ったら、怒られちゃうかな。
 なんて現金な奴なんだ、って思われちゃうかな。
 早く怪我を治してもらいに行こうと催促するスミレちゃんと眼帯の人が、例の司祭様の元へと向かった。わたしもその後ろを追いかける。
 どうやら知り合いらしい司祭様とスミレちゃんが親しげに話しているのを見て、胸がモヤッとした。
 ……なんだろう、これ。どうして心臓がむかむかしてるんだろう。
 治癒が終わり司祭様がどこかに行った後、わたしはスミレちゃんのすぐ側に座って話していた。
 その時だった。

「……ねぇ、メイシア。メイシアは自分の事、好き?」
「……自分の事?」

 スミレちゃんがわたしの左手にそっと触れて、聞いてきた。
 自分が好きかと聞かれれば、嫌いだった。化け物なわたしを、好きになれるはずがなかった。
 答えを言い淀んでいると、スミレちゃんが微笑みながら続けた。

「私はね、メイシアの事が好きだよ。凄く可愛くて、優しくて……こんな私の事を心配してくれた、数少ない……ううん、私の初めての女の子の友達。だからね、大好きなの。貴女の事が」

 世界が輝いて見えたような気がした。わたしを好きと言ってくれた彼女の笑顔が、月明かりの下、とても綺麗に輝いて見えたのだ。
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