だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
そうと決まれば、やるべき事はどのルートに進んでも問題無いよう死亡率を下げる事ね。
皇帝が軽率に殺しにくくなるように名声を得るのと同時進行で…………攻略対象達の、特に最も近い敵たるフリードルの手勢を減らしたい。そして私の味方を増やしたい。
そう考えたらやっぱり狙うべきは……フリードルの参謀になる秀才、鈍色のイケメンのレオナードね。でもまだ帝都にはいないし……少なくとも向こう数年以内には現れる筈だから、現れたら交渉してみよう。
マクベスタも確かゲームではフリードルの下についていたから、それは今のところ大丈夫な感じね。マクベスタは既にフリードル陣営より引き抜き終えている。
後は……フリードルの手勢と言う訳ではないけれど、アミレスの命を脅かしがちなスパイのサラ。
サラもどうにかしたいとは思うけれど、いかんせん我が帝国の諜報部は皇族でも立ち入れないのだ。そこに立ち入れるのは皇帝と諜報部の者のみらしい。
だからサラと接触する事は不可能。諦めなければならない。
……ちょっと待って、そう言えば何でマクベスタはフリードルの下についてたの? いくら親善交流でもそんな長期間帝国にいる訳無いでしょ、しかもフリードルの下につくとか……普通、交流が終われば自分の国に帰るは……ず……。
──待って、そうだ、何で私は今まで忘れてたの!? マクベスタは自分の国に帰らなかったんじゃない、帰れなかったんだ!!
まずい、まずいまずいまずいッ! このままだとオセロマイト王国が滅んでしまう!!
「っ! マクベスタ、確か帝国には一年ぐらい前に来たって言ってたよね!?」
「あ、あぁ、そうだが……急にどうしたんだ……?」
勢いよく起き上がって必死の剣幕で確認した私に、マクベスタはかなり動揺していた。
私が急にそんな事を言い出したので、言い争っていたシルフとシュヴァルツもピタリと口論を止めた。
しかし私は止まる事なく思考する。ぐわん、ぐわん、とする頭で必死に考える。
そうだよ、何で私は忘れてたんだ!? ゲームの一作目でも二作目でも……本編シナリオが始まった時にはもうとっくに──オセロマイト王国は滅亡していたじゃないか!
一作目ではフリードルの軍に従軍していたし、二作目では攻略対象入りだぞ、一国の王子が他国にいながらだ! ああもうっ、なんでこんなド忘れしてたのよ……っ!
マクベスタのルートで語られた事には、未知の感染症がオセロマイト王国で大流行し、瞬く間にかの王国を破滅に追いやったのだと言う。
その為、マクベスタは帰る家を失い友好国たるフォーロイト帝国に身を寄せる事となった……。
その感染症の大流行はマクベスタがフォーロイト帝国に親善交流に赴いていた時に起きたものだった。よって王国に当時いなかったマクベスタだけが生き残り、オセロマイト王国の人々は等しく死に絶えたのだと言う。
マクベスタのルートでマクベスタが言っていた、『オレには、帰る家が……もう無いんだ』と言う台詞が現実になろうとしている。
……どうしてこんな大事な事を忘れてたのよ私は! これを覚えていれば! 何か出来る事だってあったかもしれないのに!!
「ねぇマクベスタ、何か祖国から手紙が届いたりしてないの? ほら、オセロマイトの様子を伝える内容のものとか」
「それなら兄上から少し前に届いたが……本当にどうしたんだ、様子が変だぞ?」
冷や汗を滝のように流しながら、私は更に質問する。その時、焦りが相当表に出ていたのか、皆が心底心配したような面持ちでこちらを見つめていた。
「どーしたの、おねぇちゃん。顔色がさっきよりもずっと悪いよ」
「よく分からないけど落ち着いて、アミィ。体調が悪いんだからとにかく落ち着いて?」
シュヴァルツとシルフにもそう諭され、私は一度深呼吸をして心を落ち着かせた。
……落ち着け、落ち着くんだ。オセロマイトから手紙は届いてるらしいし、マクベスタはその手紙の事を平然と話している。ならばきっと、そんな危険を知らせる旨のものでは無かったのだろう。
ならまだ猶予はある。きっと、オセロマイト王国も今すぐ破滅したりはしない筈。
とにかく落ち着いて……私は、念の為に手紙の内容を聞こうとして、失敗に終わった。
皇帝が軽率に殺しにくくなるように名声を得るのと同時進行で…………攻略対象達の、特に最も近い敵たるフリードルの手勢を減らしたい。そして私の味方を増やしたい。
そう考えたらやっぱり狙うべきは……フリードルの参謀になる秀才、鈍色のイケメンのレオナードね。でもまだ帝都にはいないし……少なくとも向こう数年以内には現れる筈だから、現れたら交渉してみよう。
マクベスタも確かゲームではフリードルの下についていたから、それは今のところ大丈夫な感じね。マクベスタは既にフリードル陣営より引き抜き終えている。
後は……フリードルの手勢と言う訳ではないけれど、アミレスの命を脅かしがちなスパイのサラ。
サラもどうにかしたいとは思うけれど、いかんせん我が帝国の諜報部は皇族でも立ち入れないのだ。そこに立ち入れるのは皇帝と諜報部の者のみらしい。
だからサラと接触する事は不可能。諦めなければならない。
……ちょっと待って、そう言えば何でマクベスタはフリードルの下についてたの? いくら親善交流でもそんな長期間帝国にいる訳無いでしょ、しかもフリードルの下につくとか……普通、交流が終われば自分の国に帰るは……ず……。
──待って、そうだ、何で私は今まで忘れてたの!? マクベスタは自分の国に帰らなかったんじゃない、帰れなかったんだ!!
まずい、まずいまずいまずいッ! このままだとオセロマイト王国が滅んでしまう!!
「っ! マクベスタ、確か帝国には一年ぐらい前に来たって言ってたよね!?」
「あ、あぁ、そうだが……急にどうしたんだ……?」
勢いよく起き上がって必死の剣幕で確認した私に、マクベスタはかなり動揺していた。
私が急にそんな事を言い出したので、言い争っていたシルフとシュヴァルツもピタリと口論を止めた。
しかし私は止まる事なく思考する。ぐわん、ぐわん、とする頭で必死に考える。
そうだよ、何で私は忘れてたんだ!? ゲームの一作目でも二作目でも……本編シナリオが始まった時にはもうとっくに──オセロマイト王国は滅亡していたじゃないか!
一作目ではフリードルの軍に従軍していたし、二作目では攻略対象入りだぞ、一国の王子が他国にいながらだ! ああもうっ、なんでこんなド忘れしてたのよ……っ!
マクベスタのルートで語られた事には、未知の感染症がオセロマイト王国で大流行し、瞬く間にかの王国を破滅に追いやったのだと言う。
その為、マクベスタは帰る家を失い友好国たるフォーロイト帝国に身を寄せる事となった……。
その感染症の大流行はマクベスタがフォーロイト帝国に親善交流に赴いていた時に起きたものだった。よって王国に当時いなかったマクベスタだけが生き残り、オセロマイト王国の人々は等しく死に絶えたのだと言う。
マクベスタのルートでマクベスタが言っていた、『オレには、帰る家が……もう無いんだ』と言う台詞が現実になろうとしている。
……どうしてこんな大事な事を忘れてたのよ私は! これを覚えていれば! 何か出来る事だってあったかもしれないのに!!
「ねぇマクベスタ、何か祖国から手紙が届いたりしてないの? ほら、オセロマイトの様子を伝える内容のものとか」
「それなら兄上から少し前に届いたが……本当にどうしたんだ、様子が変だぞ?」
冷や汗を滝のように流しながら、私は更に質問する。その時、焦りが相当表に出ていたのか、皆が心底心配したような面持ちでこちらを見つめていた。
「どーしたの、おねぇちゃん。顔色がさっきよりもずっと悪いよ」
「よく分からないけど落ち着いて、アミィ。体調が悪いんだからとにかく落ち着いて?」
シュヴァルツとシルフにもそう諭され、私は一度深呼吸をして心を落ち着かせた。
……落ち着け、落ち着くんだ。オセロマイトから手紙は届いてるらしいし、マクベスタはその手紙の事を平然と話している。ならばきっと、そんな危険を知らせる旨のものでは無かったのだろう。
ならまだ猶予はある。きっと、オセロマイト王国も今すぐ破滅したりはしない筈。
とにかく落ち着いて……私は、念の為に手紙の内容を聞こうとして、失敗に終わった。