だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「……本当に皇族なのか?」
「一応は皇族ですけど、少なくともディオさん達の前にいる時はただのスミレとして振舞ってるつもりです。突然王女扱いされても困ります」
「っあー……困ったなァ……」

 困ったなと言いながらまたもや頭を抱えるディオさんを見て、私は悪い事しちゃったなと申し訳ない気持ちになった。
 そこで私は、肩に乗り移っていたシルフをひょいっと両手で掴んで、小声で話しかける。

「……ねぇシルフ、もう一回魔法をかけて貰えたりしませんかね……?」
「はぁ。本当に行き当たりばったりだねぇ、君は」
「うっ、ごもっともでございます……」

 シルフから耳の痛い言葉が飛んでくる。しかしそう言いながらもシルフはちゃんと魔法をかけてくれて、私の髪はまた桃色へと変わっていった。
 本当にシルフは凄いなぁ……平然とこんな凄い魔法を使いこなすんだから。流石は精霊さんね。
 さてシルフのおかげで私はまたスミレになれた訳だが…何故わざわざ戻ったかと言うと。

「ごほん、これでどうですかディオさん。今の私はどこにでもいるごくごく普通の平凡な女・スミレですよ!」

 髪の毛を一房手に掴んで、私はドヤ顔でそうアピールする。
 しかしそれはあまり意味を成さなかったらしい。ディオさんは俯かせた顔を上げることなく零した。

「……お前のどこが平凡な女なんだ……ああもう、分かったからとりあえず、俺達をさん付けで呼ぶな。敬語も使うな。つぅかそもそもなんでお前は俺達相手に敬語なんて使ってたんだよ」
「年上に敬意を払うのは当然でしょう?」

 首を傾げながら、私はそう返す。それにはその場にいた人達全てが目を丸くしていた……何かおかしい事言ったかしら。
 敬意を払うべき相手には敬意を払うのが当然と考える私は、表ではハイラと呼んでいても心の中ではハイラさんと呼んでいる。やっぱりその辺の年功序列的なのは大事にしていきたいのよね、元日本人として。
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