だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「へぇ、本当にいいのかよ王子様。十一対一で」
「ああ。今回は実力を測るだけだからな」

 不敵に笑うディオに対し、マクベスタはとても冷静な面持ちとなっていた。
 なんとかマクベスタに一泡吹かせてやりたいと、ディオ達の顔つきが本気のものへと変わる。……まぁ、アレではコケにされたようなものだし。
 長剣《ロングソード》に短剣《ナイフ》に大剣にサーベル……それぞれの得意とする武器を構えるディオ達。
 対するマクベスタは愛剣を鞘から抜き──何故かその剣を私に渡して来た。

「……この試験の間、預かっていて欲しい」
「鞘で戦うつもり?」
「剣だと大怪我させてしまうかもしれないからな」
「……貴方も怪我しないように気をつけなさいよ?」

 そう伝えると、マクベスタは「あぁ」と小さく微笑んでディオ達の元へと向かった。
 ディオ達は皆大人だけど、マクベスタはまだまだ十四歳の子供だ。本当に大丈夫なのだろうか……と心配が腹の底から込み上げる。
 この心配が杞憂で終わる事を祈りながら、私は剣術仲間のマクベスタの背中を眺めていた。
 そして……真剣な面持ちでマクベスタとディオ達が対峙したので、ごほんっと咳払いをしてから、私は戦闘開始を高らかに宣言した。

「試験開始っ!」

 その合図と共に、ジェジとエリニティとクラリスとバドールがマクベスタ目掛けて地面を蹴り疾走する。

「風よ、彼の者達の足となれ──」

 その後ろからユーキが風の魔法で四人を支援する。
 ユーキの魔法により四人の動きが格段に良くなった。風で四人の体を軽くしたという事か? いや全く意味がわからん、何なんだあの魔法の使い方は、新し過ぎるだろ。

「大地に呑まれてしまえ!」
「大地に囚われてしまえ!」

 そこでルーシアンが土属性と思しき魔法を発動し、それによりマクベスタの地面が泥沼のように変化しては彼の足を搦めとる。
 その隙にルーシアンの横で同じく土属性と思しき魔法を発動させたメアリードが、その泥沼を一気に乾いた土へと変え、マクベスタの動きを封じた。
 おお……と私は感嘆の息を漏らす。まさに完璧な連携。これらを独学でこなしているのであれば本当に天才としか言いようがない。
 それぐらい完成度の高い連携だったのだ。
 しかしこれで終わりではない。そこに更なる追撃があった。
 ラークとシャルが弓を構え、石矢を射る。片やその矢尻が燃え盛り、片やその矢尻が何かによって溶かされ始めたのだ。
 ……ラークが射った矢が燃えた事から、ラークの魔力は恐らく火の魔力だ。そして……シャルのあれは何だ? 思いつくものとしては毒の魔力だが……魔力の幅が広いな、この集団。
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